ラインずらし、高低配球…原典ゲーム崇拝のあまり後発に違和感を覚えてしまった要素
何事も最初の経験は強烈に記憶されるもので、ゲームもまたしかりです。最初にプレイしたゲームが面白すぎて、後発タイトルになじめなかった経験はないでしょうか。ゲームが日進月歩どころか秒進分歩だった時代のお話です。
「RPGのHPは3ケタまで」と勝手に思い込んでいたあの頃…

少年期、最初に触れたゲームにより、「RPGはこうだ」「格闘ゲームはこうだ」と刷り込まれたため、わずか数年後、進化したシステムになじめないことがありました。原典を崇拝するあまり後発の要素に違和感を覚えたことはないでしょうか。
●ドラクエを崇拝するあまりRPGのHP3ケタ超えに違和感
「ドラゴンクエスト」シリーズ(エニックス、当時)では、ナンバリングが進んでもしばらくは、自パーティーのHP(ヒットポイント)は3ケタでした。
それが、わずか数年後の『ファイナルファンタジーII』(スクウェア、当時)をはじめ後発のRPGになると、HPが4ケタになるゲームもしばしば現れます。自分にとっての「RPG」で「ルール」が『ドラクエ』だったため、4ケタHPの世界観に慣れるまで少々時間がかかったものです。
また、初期「ドラクエ」タイトルは、武器防具のバフや耐性、キャラの特技もほとんどなく、素の能力で戦うストロングスタイルが魅力的でした。
しかしほかのRPGでは、武器防具のバフは当たり前のようになり、工夫をすれば強敵にも勝てるというシステムがスタンダードになるなどして、脳筋少年の私には難しい要素となっていきます。
それでも順応することに努めると、4ケタHPは攻撃のバリエーションの多様性に必要なことや、武器防具のバフも工夫に楽しさがあることを次第に理解できてきて、のめりこんでいったのでした。
●ラインずらし、場外負けなどの要素が増えてパニックする格闘ゲーム
格闘ゲームは、この作品から始まったといっても過言ではないのが『ストリートファイターII』(カプコン)でしょう。シンプルに殴り合い、遠距離攻撃をくりだし合って勝ち負けを競うのが魅力的でした。
のちに『餓狼伝説』(旧SNK、当時)でラインずらし要素が加わって奥行きが使えるようになり、ゲームに幅がでます。
また、『バーチャファイター』では場外負け要素が加わり、『鉄拳』では手から波動が出るような飛び道具のないシンプルな作りになり、わずか数年の間に「格闘ゲーム」というジャンルは劇的な進化を遂げ、『ストII』で育った筆者としては、場外落としの駆け引きやコンボコマンドを記憶することが億劫でなじめませんでした。
そのような自分の背景がありながらも、魅力的なキャラの登場や対戦という友人とわいわい遊べる要素はやはり楽しく、コマンドを覚える面倒くささやジャンルの不得手を度外視しても、抜群に面白いゲームだったと思います。
●投球の高低が導入されグッと難しくなった野球ゲーム
ファミコンにおける野球ゲームの代名詞のひとつ『プロ野球ファミリースタジアム』(ナムコ、当時)の投手といえば、ストレート、カーブ、シュート、フォークというシンプルな球種しかなく、バッティングも、打席のなかでの位置取りくらいでした。
しかし、わずか1年後に発売された『燃えろ!!プロ野球』(旧ジャレコ、当時)あたりから、配球に高低の要素が加わるようになります。
これによりバッターは狙い球がしぼりづらくなり、後の「パワフルプロ野球」シリーズ(コナミ、当時)では、リアルに存在する数々の変化球、同じ変化でも名前が違うという球種も現れ、とても把握しきれず……。
しかしプレイすると、意外とホームランを打てることもあるなど、「コナミのゲームバランス侮りがたし……」と、すぐになじみ楽しく遊べたものです。
少年期は原典至上主義でしたが、大人になった今、昔のことが嘘のように無邪気に遊んでいる自分に気付き、TVゲームの素晴らしさに改めて平伏する日々です。
(南城与右衛門)