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42年ぶり再放送の『未来少年コナン』 脇役たちも輝かせた、宮崎駿監督のスゴ腕演出

1978年にNHK総合で放映されたSFアニメ『未来少年コナン』が、2020年5月3日(日)から再放送されます。宮崎監督ならではの躍動感あふれる演出と魅力的なキャラクターたちは、登場から42年経った現在でも古臭さを感じさせません。

二度とありえない! 豪華すぎるスタッフ

アニメ『未来少年コナン』 (C)NIPPON ANIMATION CO.,LTD.
アニメ『未来少年コナン』 (C)NIPPON ANIMATION CO.,LTD.

 あのコナンが、NHKに帰ってきました。宮崎駿監督の監督デビュー作となるTVアニメ『未来少年コナン』が、2020年5月3日(日)深夜24:10からNHK総合で再放送されます。デジタルリマスター版でのオンエアです。1978年4月~10月に放映された『未来少年コナン』は、民放のローカル枠ではたびたび再放送されてきましたが、 NHK総合で『未来少年コナン』を再び楽しめることに、SNSでは喜びの声をあげるファンも少なくないようです。

 冷戦下にあった米国とソビエト連邦との関係性が投影された、アレグザンダー・ケイのSF小説『のこされた人びと』を、宮崎監督は物語設定のみ使う形で大胆に脚色しました。キャラクターデザイン&作画監督は、アニメ『ルパン三世』第1シリーズ(日本テレビ系)でもお馴染みのベテランアニメーターの大塚康生氏です。

 原画は劇場アニメ『耳をすませば』(1995年)で監督デビューを果たすことになる近藤喜文監督、演出には高畑勲監督も参加していました。絵コンテには「とみの喜幸」名義で、翌1979年に『機動戦士ガンダム』(テレビ朝日系)を世に送り出す富野由悠季監督も加わっていました。いま振り返ると、とんでもなく超豪華なスタッフが集結していたことが分かります。

宮崎作品ならではの薄幸系ヒロイン

ヒロインのラナが描かれた、『未来少年コナン』DVD7巻(バンダイビジュアル)
ヒロインのラナが描かれた、『未来少年コナン』DVD7巻(バンダイビジュアル)

 主人公は「のこされ島」で生まれ育った自然児のコナン(CV:小原乃梨子)。最終戦争後の荒廃した世界を舞台に、コナンは太陽エネルギーの秘密の鍵を握る少女・ラナ(CV:信澤三恵子)と出逢い、科学都市インダストリアへと連れ去られたラナを助けるために「のこされ島」から旅立つことになります。

 ヒロインのラナは、どこか寂しげな表情をたたえた少女です。宮崎監督が東映動画(現・東映アニメーション)時代に参加した映画『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968年)の少女ヒルダ、高畑監督とのコンビ作『母をたずねて三千里』(フジテレビ系)に登場した人形劇団一座の次女・フィオリーナらを彷彿させる、薄幸系のヒロインです。宮崎監督好みの女性キャラクターとなっています。

 第1話「のこされ島」では、コナンとラナとの出逢いが描かれます。浜辺での、運命的なボーイ・ミーツ・ガール。宮崎監督はその後も、『ルパン三世 カリオストロの城』や『天空の城ラピュタ』(1986年)から『風立ちぬ』(2013年)まで、「ボーイ・ミーツ・ガール」の物語を繰り返し描くことになります。『未来少年コナン』は宮崎駿ワールドの原点であり、集大成でもあると言えるでしょう。

【画像】最初は嫌な奴だったのに…『未来少年コナン』で大きく変貌したキャラクターたち(5枚)

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