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石原プロ制作『西部警察』が残した豪快伝説 「1話につき制作費1億円」「破壊車両4680台」

日本各地を破壊して回った石原軍団

「西部警察」シリーズには、渡哲也、石原裕次郎をはじめ、舘ひろし、寺尾聰、峰竜太など、名だたる俳優陣が参加していた。『西部警察DVDコレクション』(アシェット・コレクションズ・ジャパン)より (C)石原音楽出版社
「西部警察」シリーズには、渡哲也、石原裕次郎をはじめ、舘ひろし、寺尾聰、峰竜太など、名だたる俳優陣が参加していた。『西部警察DVDコレクション』(アシェット・コレクションズ・ジャパン)より (C)石原音楽出版社

 5000万円を投じた装甲車「レディバード」でしたが、早くも第2話で大門軍団の活躍によって大炎上し、廃棄処分となりました。

 以降、大門軍団は東京だけでなく、全国各地で暴れ回ります。『西部警察PARTII』では静岡県浜名湖に浮かぶ遊覧船、広島市内を走る路面電車を爆破&炎上させ、愛知県名古屋では高さ45mの巨大煙突を倒壊させています。

 次第に地方ロケが多くなったのには、東京都内では撮影許可が下りなくなってしまったという事情もあったようです。

助演俳優もスタッフもやりがいを感じた現場

 木暮課長役を演じた石原裕次郎さんは『太陽にほえろ』(日本テレビ系)と掛け持ちだったこともあり、出番は限られていましたが、こんな逸話が残っています。

 悪役で知られていた八名信夫さんがゲスト出演した際、八名さんの撮影時間が伸び、冷めたお弁当しかなかったそうです。そこに石原さんが現れ、「僕は冷めたのが好きなんです。こっちの弁当は温かいので交換しましょう」と申し出たそうです。八名さんは大感激して、温かいお弁当をいただいたと語っています。制作者でもあった石原さんが、現場の隅々まで気を配っていたことがうかがえます。

 豪気な石原軍団だけに、地方ロケでは高級ホテルに宿泊するのがお約束でした。キャストだけがいい部屋に泊まるのではなく、スタッフにも同等の部屋が割り当てられました。分け隔てをしないのが、石原プロの流儀でした。

 石原さんや渡哲也さんの人柄が、ドラマづくりには反映されていたようです。『西部警察』のような豪快なドラマに、いつまかた出会いたいものです。

(長野辰次)

【画像】「えっ、路面電車も爆破するんですか?」これが常識破りな『西部警察』の衝撃シーンです(5枚)

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