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ジブリへと続いた『母をたずねて三千里』 「母の日」に見たい高畑&宮崎コンビ作品

宮崎駿監督の監督デビュー作『未来少年コナン』が、NHK総合で毎週日曜の深夜に再放送されています。同作に登場するダイス船長やラナにそっくりなキャラは、宮崎監督が場面設定・レイアウトで参加した『母をたずねて三千里』でも重要な役割を担っています。スタジオジブリの冒険ものの原型となった『母をたずねて三千里』を振り返ります。

NHK『なつぞら』でおなじみのスタッフが集結

『母をたずねて三千里』DVD(バンダイビジュアル)
『母をたずねて三千里』DVD(バンダイビジュアル)

 5月の第2日曜日は「母の日」です。感謝の気持ちを添えて、お母さんにカーネーションを贈ったことのある人は多いのではないでしょうか。「母の日」にちなみ、母親をモチーフにしたアニメ作品を紹介したいと思います。

 けらえいこ原作の『あたしンち』(テレビ朝日系)、西原理恵子原作の『毎日かあさん』(テレビ東京系)などの生活感たっぷりな母親を描いた日常アニメも数多くありますが、1976年に「世界名作劇場版」シリーズとして放映された『母をたずねて三千里』(フジテレビ系)も忘れられない作品です。主人公の母親は第1話と終盤にしか姿を見せませんが、逆に主人公にとって大きな存在となっています。

 エドモンド・デ・アミーチスの小説『クオレ』を原作にした『母をたずねて三千里』は、高畑勲(監督)&宮崎駿(場面設定&レイアウト)というアニメ史に残る名コンビが手掛けた感動的なロードムービーです。キャラクターデザインおよび作画監督は『アルプスの少女ハイジ』(フジテレビ系)に続いて小田部羊一氏、作画監督補佐はNHK連続テレビ小説『なつぞら』の主人公のモデルとなった奥山玲子さんでした。東映動画(現・東映アニメーション)出身の凄腕クリエイターたちが才能をぞんぶんに発揮した作品です。

『未来少年コナン』そっくりなキャラたち

 時代は19世紀。イタリアの港町ジェノバで暮らす少年マルコ(CV:松尾佳子)が主人公です。苦しい家計を支えるため、マルコの母アンナ(CV:二階堂有希子)は南米アルゼンチンまで出稼ぎに向かいます。ところが、アンナからの手紙が途絶えたため、マルコは母の安否を確かめに旅立ちます。ようやくアルゼンチンへ渡っても、すれ違いの連続で、マルコは何度も絶望感に襲われるのでした。

 TVアニメ版では、原作にはない人形劇団一座を率いるペッピーノ(CV:永井一郎)や次女のフィオリーナ(CV:信澤三恵子)らが登場し、物語を盛り上げました。腰を据えて働くことができないペッピーノ、地味な性格のフィオリーナは、宮崎駿監督の監督デビュー作『未来少年コナン』(NHK総合)のダイス船長とラナにそっくりです。

 最初は口数の少なかったフィオリーナですが、マルコとの交流を重ね、少しずつ明るくなり、父親であるペッピーノにも自分の意見をはっきりと伝えることができるようになります。早くに母と別れたつらい過去を持つフィオリーナが、マルコを温かく励ます場面は胸に迫るものがありました。

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