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人気アニメ『蒼穹のファフナー』シリーズ無料配信 トラウマシーン連続に胃薬が必要

ピンチに駆けつける救世主はいない

『蒼穹のファフナー THE BEYOND』第7~9話キービジュアル (C)XEBEC・FAFNER BEYOND PROJECT
『蒼穹のファフナー THE BEYOND』第7~9話キービジュアル (C)XEBEC・FAFNER BEYOND PROJECT

 よく見かける演出に、絶体絶命の危機に陥り「もうだめだ……!」と覚悟を決めた瞬間に助けが入るというものがあります。『蒼穹のファフナー』では、ギリギリのピンチに「助からない」という結末が待っていることも。

 視聴者の望みを裏切る展開ですが、逆に「まさか来るとは思わなかった」と驚かされる助けの手もあるのが救いでしょうか。人気作では先の展開を「推測」「考察」されることもありますが、『蒼穹のファフナー』はもし予想したならば「こうあってほしくない」という結果が訪れることが多々あります。

 TVシリーズ1期の前日譚である『RIGHT OF LEFT』で描かれた「L計画」が最たるもので、竜宮島を守るために選抜された戦士たちは島に偽装された「Lボート」で航海を始めます。フェストゥムから思考を読み取られることを防ぐために戦う理由すら教えられず、多くの戦士が命を落としていきます。

「L計画」によって、フェストゥムの襲来を一時的に退けることに成功する竜宮島。その後、フェストゥムの本格的な脅威が訪れ、アルヴィスの大人たちは、苦しみながら子供たちを戦いに向かわせます。ある母親は我が子を戦いで失い、養子として迎え入れた子をまた失うという残酷な運命も背負うことに。それでもまだ子供たちを愛そうとし、苦しみを受け入れる姿が目に焼き付きます。

島を愛する温かな人びと 頼もしい大人と強い子供

 ファフナーのパイロットである子供たちへの負荷を減らすための研究も進み、ストーリーの進行とともに痛みや同化現象の緩和がされていくのですが、最前線で命をかけての戦いが強いられることは変わりません。

 戦いに赴く子供たちは強く故郷を思い続けています。ただひたすら仲間や故郷への愛の深さが描かれているのが、ファンのキャラクターへの愛につながるのでしょう。

「島にはいつ、本当の平和がやってくるのか……」ファンからはため息や嘆きの声が聞かれます。戦いに勝っても、得られるのはつかの間の平和だけです。2020年公開予定の『蒼穹のファフナー THE BEYOND』第9話のサブタイトルは「第二次L計画」という不穏なもの。『RIGHT OF LEFT』で描かれた、悲惨すぎる計画が再び実行されるのでしょうか。

 設定の難解さから、数度繰返し視聴する人も多い作品です。まだ『蒼穹のファフナー』の世界に触れていない方は、無料配信中にぜひ歴史を追ってみてください。

 最後に、現実に起きた悲しい出来事もお伝えします。一騎を想っていたファフナーパイロットのひとり、羽佐間翔子(はざま・しょうこ)役を務めた声優の松来未祐さんが2015年10月27日に38歳で亡くなりました。松来さんの遺族は、「慢性活動性EBウイルス感染症」という非常に症例の少ない難病であったことから、病名を明らかにしました。認知度の低い病で、発見が遅れることも少なくないとのことです。

 また、総士の妹で竜宮島の「コア」である皆城乙姫(みなしろ・つばき)と乙姫の娘にあたる織姫(おりひめ)を演じた仲西環さんは2020年3月14日、44歳で亡くなりました。ふたりの声優が遺した素晴らしい演技も、改めて心に刻んでもらいたいと思います。

(マグミクス編集部)

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