『釣りキチ三平』が教えてくれたこと 子供に見せたら釣り具一式揃えるハメに?
いろいろな社会問題も教えてくれた

他にも金色の鯉のお話で砂金の存在や砂金採りという仕事がかつて存在していたことや、ブラックバスが他の魚を食べつくしてしまう凶悪な魚であること、マナーの悪い釣り人が捨てたゴミによって自然が破壊されることなど、釣り以外にも多くのことを学ばせてもらいました。
『釣りキチ三平』のように数多くの文化や社会問題を取り扱いながらも、釣りというメインテーマからは決して離れることが無い骨太な作品は、アニメの歴史を見ても、そうたくさんはありません。未見の方やお子さんのいる方は、今回のファミリー劇場での再放送を、ぜひ見てほしいと思います。ただしお子さんが「釣りに行きたい!」と言い出して、釣り具一式をそろえる羽目になるかもしれませんが、そこは何とかしてあげてくださればと思います。筆者は釣り具を扱っているダイソーが近所にあるので、その点では大分助かっています。
昔は『釣りキチ三平』の釣り針が50円で売られていたので愛用していたことをよく覚えています。今ではもう手に入らないでしょうが、もし見つけられたら、また使ってみたいと思う思い出の品です。
さて、そんな『釣りキチ三平』の原作は、矢口高雄先生の手により「週刊少年マガジン」と「月刊少年マガジン」の両誌に1973年から1983年にかけて連載されていました。その後もたびたび続編や短編が発表され、2001年から2010年にかけては『釣りキチ三平 平成版』も発表された、息の長い作品です。現在でも雑誌「イブニング」(講談社)で三平の良き兄貴分である魚紳さんを主人公とした『バーサス魚紳さん! ~釣りキチ三平外伝~』(原作:矢口高雄、マンガ:立沢克美)が連載されています。2020年を迎えても未だに現役を続けている矢口高雄先生の旺盛な創作力には感服するほかありません。これからもできる限り長く、現役を続けてくれることを切に願っています。
(早川清一朗)