「猫のひげ」はレアアイテム 拾ったらやることが飼い主「あるある」?
漫画家の迷子さんによる描き下ろしエッセイ。猫のひげは、飼い主にとって貴重品。めったに手に入らない、レアアイテムです。センサー機能もあるという有能なひげが、もし、人間に生えていたらどうなるのでしょう?
猫のひげは飼い主にとって宝物
漫画家の迷子さんによる描き下ろしエッセイ。猫のひげは、めったに手に入らないレアアイテム。拾ったらラッキー!
さまざまな機能がある猫のひげが、もし人に生えていたらどうなるのでしょう?
* * *
猫のひげを拾った。
猫を飼っている人なら分かると思うのだが、猫と暮らしていると、たま~に「猫のひげ」というレアアイテムが落ちていて採取できることがあるのだ。自然に抜け代わるのだろう。拾えた幸運に感謝し、指先でそのピンとした固さと先端のしなりを楽しむ。それから猫のところに行ってひげの取得を報告し、戻した方がいいですか? と抜けたひげを差し出してみたりする。まあ八割方は無視される。もらっても良いらしいと勝手に判断したら、やっと保管するのだ。
猫のひげの根元は神経と近く、センサーの役割を果たしているらしい。空気の流れで障害物も獲物も察知できて、さらに今の気分をも表す。お役立ち機能がいっぱいだ。それに比べて人のひげ。すっきりさっぱりなシェービング剤のCMなどを見ていると、一体何のためのものなのだろうと考えてしまう。人のひげが束で落ちていても拾う気には一向になれないので、猫のひげが人のひげのようでなくてよかったとは思うが……いや猫に生えていればそれはそれでかわいいか。
ならば人に猫のひげがあったらばどうだろう。人の気配を素早く察知し遭遇を避けることができる、もしくは気付かれず接近することができる。暗いなかでも障害物を避けて行動することができる。
うん、なんだか犯罪が増えそうだ。
ひげだけかわいくても心の底から無意味、やはり猫のひげは猫に生えていてこそ良い。当たり前の結論とともに、今日も保管したひげを眺めている。
(迷子)