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『機動戦士ガンダム』制作のサンライズ 異色のSFアニメ【3選】

『機動戦士ガンダム』で知られるアニメ制作会社サンライズは、数々の名作を手掛けてきました。特にSFは評価が高い作品が多数。そのなかでも、設定や展開が異色な作品をご紹介します。

『ガンダム』のサンライズが手掛けたSFアニメ

「ガンダム」シリーズを手掛けるアニメ制作会社・サンライズは、初代『機動戦士ガンダム』(1979年)の放送後も、『伝説巨神イデオン』(1980年)、『装甲騎兵ボトムズ』(1983年)などのアニメの歴史に残るオリジナル作品を送り出してきました。

 90年代にはロボットアニメながら女性もターゲットにした『天空のエスカフローネ』(1996年)、ハードボイルドかつコミカルな世界観が好評だった『カウボーイビバップ』(1998年)宇宙を漂流する子供たちの悲惨な旅を描いた『無限のリヴァイアス』(1999年)などの名作を制作。

『コードギアス 反逆のルルーシュ』(2006年)や『TIGER & BUNNY』(2011年)は熱狂的な女性ファンを取り込み、超ヒット作となりました。

 オリジナル作だけでなく原作のある作品も制作しており、2020年の最新作としては、沙村広明氏によるマンガが原作の『波よ聞いてくれ』をアニメ化し、「まさかサンライズが作るとは!」「さすがサンライズという出来」と話題になっています。

 数々の名作アニメを作り出してきたサンライズによる、一風変わったSFアニメをご紹介します。

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●『セイクリッドセブン』(2011年)

『セイクリッドセブン』 (C)サンライズ/PROJECT S7
『セイクリッドセブン』 (C)サンライズ/PROJECT S7

 主人公がロボットに乗るのではなく、変身ヒーローとして戦うのが特徴。鎌倉市を舞台とし、「石」が物語のキーとなります。

 主人公の丹童子アルマ (たんどうじ・アルマ/CV:寺島拓篤)は自分を制していた石を失くしたことをきっかけに、力を暴走させてしまい、人を傷つけた過去を持ちます。人との関わりを避けてきたアルマの前に現れたのは「善石(ヨシ)」を持つ少女・藍羽ルリ(あいば・ルリ/CV:中島愛)。「悪石(アシ)」に対抗するためにアルマの協力を求めるルリと徐々に心を通わせていきます。

 ルリの存在でアルマは力を制御できる変身が可能。ヒロインとヒーローが力を合わせて悪に立ち向かう、正統派の「ボーイ・ミーツ・ガール」なストーリーですが、ルリのサポート役である鬼瓦(CV:大川透)などのコミカル要素などのオリジナリティも。

 キャラクター原案はイラストレーターのいのまたむつみ氏が担当。オープニングはFictionJunctionの楽曲で、ヒーローものにしては異色な、オシャレな映像も印象的です。

●『革命機ヴァルヴレイヴ』(2013年)

『革命機ヴァルヴレイヴ』 (C)SUNRISE/VVV Committee
『革命機ヴァルヴレイヴ』 (C)SUNRISE/VVV Committee

 キャラクター原案は『D.Gray-man』(集英社)の漫画家・星野桂氏。オープニングテーマは、西川貴教さんと水樹奈々さんによるデュエット曲で1期『Preserved Roses』、2期『革命デュアリズム』とも大ヒットとなりました。

 舞台は人類のほとんどが宇宙に移住した世界。2大勢力「ドルシア」「ARUS(アルス)」が対立を続けるなかで、平和な中立国「ジオール」に暮らす高校生・時縞ハルト(ときしま・ハルト/CV:逢坂良太)は、幼馴染でジオール大統領の娘、指南ショーコ(さしなみ・ショーコ/CV:瀬戸麻沙美)に片思い中。

 しかし、転校生に扮して潜入したドルシア軍のエルエルフ(CV:木村良平)に、戦いを好まない姿勢を責められます。

「お前はハムエッグも愛した女も、ナイフで半分に切り分けるのか」

 エルエルフとの遭遇を経て、ショーコへの告白を決意するハルト。しかしジオールはドルシアの攻撃を受け、避難する途中でショーコは爆撃に巻き込まれてしまいます。ショーコの死に愕然とするハルトの前に現れたのは、エルエルフが強奪に失敗した人型ロボット「ヴァルヴレイヴ」。戦うことを決意したハルトはヴァルヴレイヴでドルーア軍を撃退します。

 平凡な学生が、戦いに巻き込まれて兵器に乗り込む……過去の人気作のオマージュをからめた、正統派SFロボアニメなのかと思いきや、初めての戦いを終えてヴァルヴレイヴを降りたハルトは、エルエルフに殺害されてしまいます。ところが、ヴァルヴレイヴを奪おうとしたエルエルフの背後には、死んだはずのハルトが。

 視聴者の予想を裏切り、「とんでもない」展開を見せる『革命機ヴァルヴレイヴ』。戦闘シーンの作画は「さすがサンライズ」という出来栄えですが、ストーリーは飛び抜けて異質です。好みは分かれるでしょうが、驚かせる、飽きさせない、という点では裏切らない作品と言えます。

●『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』(2014年)

『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』 (C)SUNRISE/PROJECT ANGE
『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』 (C)SUNRISE/PROJECT ANGE

 物語の舞台は誰もが魔法のような能力・マナを使える世界。マナを使えない人間も女性のなかから生まれることがあり、「ノーマ」と呼ばれて迫害されていました。

 ミスルギ皇国の元第一皇女である、主人公のアンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギ(CV:水樹奈々)も当然、自分はマナが使えると信じていました。ところが、16歳を迎え洗礼の儀式を受ける際、兄によって「ノーマである」ことが暴かれてしまいます。

 皇女の身分を剥奪され、名前も「アンジュ」として軍事施設「アルゼナル」に送られるアンジュリーゼ。第1話が放送されると、「アンジュは一体、何をされたのか!?」と視聴者が騒然とする事態に。

 アルゼナルでは、ノーマである女性たちが兵器「パラメイル」に乗り、ドラゴンと戦う兵士となっていました。アンジュは兵士としての才覚を見せて手柄をあげていくのですが、元皇女としてのプライドが強く組織から孤立し、主人公とは思えない身勝手な行動を取ります。アンジュの行動で、兵士が命を落とすという展開も。

 セクシャルなシーンや、オマージュどころかパロディに近いギャグシーンなどで視聴者を驚かせ続けた意欲作と言えるでしょうか。物語冒頭の絶望感はどこへやら、アンジュが成長し自由奔放さを見せるようになると「違う作品?」と感じてしまうほどの超展開です。

(マグミクス編集部)

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