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「ゴジラ」と「ハム太郎」って正気? 同時上映の温度差が激しすぎて風邪ひきそうだった作品

一部のアニメ映画などを除いて、最近はすっかり見なくなった映画の同時上映。昔は当たり前のように2本立てで上映する映画がたくさんあり、思わぬ名作との出会いで得した気分になったものでした。なかには「なぜこの組み合わせ?」とツッコミを入れたくなるようなものも少なくなかったように感じます。

大人も子供もいろんな意味で大号泣?

画像は「とっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険 ― オリジナル・サウンドトラック」(日本コロムビア) (C)河井リツ子/小学館・SMDE・テレビ東京 (C)とっとこ8686プロジェクト2001
画像は「とっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険 ― オリジナル・サウンドトラック」(日本コロムビア) (C)河井リツ子/小学館・SMDE・テレビ東京 (C)とっとこ8686プロジェクト2001

 ひと昔前は、正気を疑いたくなるような映画の同時上映がちらほら見受けられました。例えば有名なのが、『となりのトトロ』と『火垂るの墓』の組み合わせです。当時、映画館へ足を運んだ観客は、トトロと少女たちの心温まるストーリーで癒やされ、『火垂るの墓』で茫然自失となったといいます。まさに映画界のサウナと水風呂。他にもあまりの温度差でととのうどころか、風邪を引いてしまうような同時上映が存在しました。

 とりわけ衝撃的だったのが、『ゴジラ』の劇場版シリーズです。2001年に公開された『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』から2003年の『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』までの3作品にかけて同時上映されたのは、当時、子供たちの間で社会現象とも言えるような人気を誇った『とっとこハム太郎』でした。

 なかでも当時の子供たちを震えあがらせたのは、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』と『劇場版 とっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険』の組み合わせです。同作のゴジラは一時期のヒーロー化路線から脱却したゴリゴリのヴィランで、まだ人が残っているような建物も含めて容赦なく破壊していきます。

 またゲスト怪獣にも容赦がなく、少し小さめでかわいらしい「バラゴン」を至近距離からの放射熱線で撃破していました。さらにはビジュアルもかなり凶悪で、それまでは黒目があるデザインだったのに対して、同作のゴジラは完全に白目で話が通じない感じがひしひしと伝わってきます。

 こうして当時の「ハム太郎」目当てのキッズたちを阿鼻叫喚に陥れたゴジラですが、それはそれとして入場者特典として配られた「ゴジハムくん」はかわいかったですね。

 衝撃の同時上映作品といえば、『スレイヤーズRETURN』と『X-エックス-劇場版』も忘れてはなりません。『スレイヤーズRETURN』は言わずと知れたラノベファンタジーの金字塔を映画化した作品で、全体的に明るくコメディタッチな内容でした。

 一方でCLAMPの人気マンガを原作とした『X-エックス-』は、登場キャラクターが敵味方問わずどんどん死亡していき、最終的にはほぼ全滅してしまいます。剣で切り裂かれた際の血しぶきはおろか、メインキャラクターの斬首シーンもしっかり描かれており、『スレイヤーズRETURN』を観に来たアニメファンをなんとも言えない気持ちにさせたものです。

 そのほか温度差のある同時上映といえば、『ドラえもん』映画に挟まるドラ泣き作品も有名でしょう。1作目は『ザ☆ドラえもんズ ムシムシぴょんぴょん大作戦!』と『ドラえもん のび太の南海大冒険』の間に上映された『帰ってきたドラえもん』で、子供向けアニメだと思っていた当時の親たちを、不意打ちでドラ泣きさせていました。

 それ以降も『のび太の結婚前夜』など感動路線のエピソードを併映するのが恒例となり、後にこれらの作品が『STAND BY ME ドラえもん』として再び映画化されているところを見るに、やはり従来の子供向け映画作品とは独立した人気があったように思えます。

 まさかの組み合わせがあり、逆に言えば作品との思わぬ出会いをもたらしてくれた映画の同時上映。最近ではほとんど見なくなったのは少し寂しいですね。

(ハララ書房)

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