田舎町に突然訪れた『ガンプラ』ブーム! おもちゃ店は子供たちで押し合いに
スーパーは「ガンプラ」を求める子供たちで押し合いに!

筆者がスーパーマーケットにたどり着いたとき、店の前は子供とお母さんたちですでにごった返していました。おもちゃ屋はスーパーマーケットのなかにあったのですが、あまりにも人が多すぎたためか駐車場に臨時の販売所が作られており、そこにガンプラの箱が山積みとなっていたのです。
たぶん列はあったはずなのですが、既に到着している人たちと、後から押し寄せてくる人たちで混乱しており、販売所の前で押し合いになっていました。筆者も最初は並んでいたと思うのですが、気づけば人の波に押され、訳が分からない内に販売所へとたどり着き、「ひとり一個までね」と言う店員さんにうながされ、手近にあったガンプラの箱をひとつ確保したのです。それが「1/144アッガイ」でした。
どうにかアッガイの箱を抱えて家にたどり着いた筆者は、裁縫用のはさみを借りてパーツを切り出し、接着剤でくっつけて、初めてのガンプラを完成させました。塗料は持っていなかったので塗装できるはずもなく、ヤスリもないのでバリもそのまま、それでも初めてガンプラを完成させた筆者は上機嫌で、「アッガイ」を普通のおもちゃのように振り回して遊んでいた記憶があります。
それからも何回か同じような販売会があり、そのたびに母親には渋い顔をされましたがなんとかお金を出してもらい、いくつかのガンプラをそろえていました。一度などはたまたま通りかかったおもちゃ屋に大量の「1/144 GM」が入荷しているのを見つけ、30分ほどして戻ったら、全部売り切れていたということもありました。それだけすさまじい人気だったのです。
しかしそれから数年後、おそらく1980年代半ばには人気は沈静化してしまっていました。そのころ筆者が入り浸っていたラジコンカー店に、ある日突然大量のガンプラが持ち込まれ、店長さんが仕入れそうになっていたので「もうガンプラなんて誰も買わないよ」と、止めた覚えがあります。おそらく、在庫の処理に困っていたのでしょう。
そんなガンプラが、2020年でついに40周年を迎えました。MG、HG、PGなどよりグレードの高いモデルが次々と発売され、いったいどれほどのバリエーションが存在するのか、もはや見当すらつきません。大きめの電器店に行けば必ずと言っていいほどガンプラの棚があり、多数のキット積まれています。ガンプラの専門店に行けば、さらに膨大な種類のキットを見ることができるのです。
海外でもガンプラは大人気で、新型コロナウイルス感染症の流行以前には、秋葉原で買い求める旅行客も大勢見かけることができました。今はまだ難しい状況かもしれませんが、いつかまた自由にガンプラを買いに出かけられる日が来る前に、筆者も部屋に積んでいる「MG リックディアス」と「MGガンダムMk-II ver.2.0 ティターンズ」を組み上げておきたいと考えています。
(早川清一朗)