マグミクス | manga * anime * game

食わず嫌い多し?『ノイエ銀英伝』 原作や石黒監督版アニメとの違いも面白い

原作に準拠しつつ、アニメとしての魅力を高めるためのアレンジも

シェーンコップのイゼルローン要塞潜入シーン (C)田中芳樹/松竹・Production I.G
シェーンコップのイゼルローン要塞潜入シーン (C)田中芳樹/松竹・Production I.G

 とはいえ『ノイエ銀英伝』も、まったくアレンジなしに作られているわけではありません。原作に合わせた場合、セカンドシーズンまでにアッテンボローの出番はなくなるのですが、『ノイエ銀英伝』での初登場はファーストシーズン最終話の第12話。原作小説の本伝(全10巻)の完結後に刊行された外伝2巻での記述を元に第十艦隊の分艦隊司令官として初登場すると、続くセカンドシーズンでも、原作での空白期間を埋める形でオリジナルの登場シーンが作られています。

 また、NHK Eテレの放送で初めて『銀英伝』の物語に触れている人にとっては、ネタバレにもなるのですが、5月18日(月)に放送される第7話では、序盤のクライマックスであるイゼルローン要塞の攻略作戦が描かれます。ヤンの部下となった本作屈指の伊達男ワルター・フォン・シェーンコップ(CV: 三木眞一郎)が、わずかな部下とともに敵国(銀河帝国)の軍人に変装して難攻不落の要塞に潜入、無力化するという危険な任務に挑むのですが、原作で、シェーンコップらが要塞に潜入後、作戦を終えるまでの描写は(新書版で)わずか3ページほど。石黒監督版のアニメも作戦開始から終了までの描写は、ほぼ原作に準拠した流れになっています。

 しかし、『ノイエ銀英伝』では、作戦全体の大枠は変わらないものの、帝国軍人に変装したシェーンコップと、彼を疑う要塞司令室警備主任レムラー(CV:松田健一郎)との緊迫感ある駆け引きが展開。白兵戦の達人であるシェーンコップの強さだけでなく、頭の回転の速さや、どんな場面でも動じない胆力、伊達男らしい口のうまさなども存分に発揮されたシーンとなっています。

 そういった形で原作の展開に準拠しながらも、必要とあらばそれを膨らませたり、合間に細かな描写を積み重ねたりもしている本作。当然、初めて『銀英伝』の物語に触れる人でも予備知識ゼロで楽しめる作品となっています。また、原作や石黒監督版アニメからのファンであれば、多少のアレンジや表現の違いでは揺らがない『銀英伝』の骨太な魅力を改めて堪能しつつ、本作ならではの描写の意味を考察するのも、新しい『銀英伝』の楽しみ方かもしれません。

※記事中の担当声優は『ノイエ銀英伝』版です。

●『銀河英雄伝説 Die Neue These』新PV(ラインハルトVer.)

●『銀河英雄伝説 Die Neue These』新PV (ヤンVer.)

(丸本大輔)

【画像】『ノイエ銀英伝』の名シーンと魅力満載の登場人物たち(9枚)

画像ギャラリー

1 2