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シリーズの異色作『黄金勇者ゴルドラン』伝説カオス回×2を語り継ごう 放送30周年

1990年代を代表するロボットアニメ「勇者」シリーズ。さまざまな作品がありましたが、そのなかでも『黄金勇者ゴルドラン』は異色作として記憶している人も多いことでしょう。その理由を紐解いてみました。

シリーズ終了の危機から脱して生み出された新機軸の数々

レジェンドラの勇者、黄金剣士ドラン。「ドラン&グレートパーツ」(コトブキヤ) (C)サンライズ
レジェンドラの勇者、黄金剣士ドラン。「ドラン&グレートパーツ」(コトブキヤ) (C)サンライズ

 本日2月4日は、1995年にTVアニメ『黄金勇者ゴルドラン』が放送開始した日です。今年2025年で30年の時が経ちました。「勇者シリーズ」第6作目として誕生した本作は、ファンの評価が大きく分かれる作品といわれています。

 前作『勇者警察ジェイデッカー』がハードなシリアス路線をメインストーリーにしていたことから、本作は本来の対象である男児向けの方向に舵を切った作品でした。もちろんシリアスな展開がなかったわけではありませんが比較的、明るい作風でメインストーリーが動いています。

 しかし、それ以上に本作を語るうえで外せない話がありました。それは本作が制作中止となり、勇者シリーズが終わっていたという可能性です。これには複雑な事情がありました。

 ことの発端は、シリーズを制作していた株式会社サンライズが1994年4月1日、バンダイの資本参加を受けて同社傘下のグループ企業となったことです。これによりライバル会社であるタカラ(現在のタカラトミー)がスポンサーだった勇者シリーズの企画は一度、止まりました。

 再開に関しては諸説ありますが、タカラの粘り強い説得と、それに応えたサンライズによるものといわれています。もちろんサンライズとしても、バンダイ以外の他社とのマーケティングをすべて失うリスクを回避したかったということもあるでしょう。

 そういった事情から、企画に使われた時間は例年よりも短かくなります。もっともそれを感じさせない、それまでになかった設定が本作には盛り込まれていました。

 その第一が、それまで「勇者」と心を通わせる少年はひとりでしたが、本作では「原島拓矢」「時村和樹」「須賀沼大」の3人組が主人公ポジションにいます。しかもこの3人組は、イタズラ好きのわんぱくな子供たちで、それまでの主人公像とは一線を画していました。

 またヒロインと呼べる存在がいないことも斬新な点です。もっとも敵側のゲストキャラとして登場し、途中から味方側となった「シャランラ・シースルー」がヒロイン枠といえないこともありません。

 これには、味方側の背景設定がほとんど描かれなかったことが由来します。主人公3人組の家族も明確に描かれていません。

 あくまでも3人組の冒険が中心で、世界中にある不思議な宝石「パワーストーン」を見つけ、それを覚醒させて「勇者」を仲間に加え、幻の黄金郷「レジェンドラ」を目指すという展開となっています。単純明快なストーリーと、子供が夢中になる「宝探し」が軸となっており、これまでのシリーズ作品より整理された展開といえるでしょう。

 その反動からか、敵キャラクターは深く降り下げた印象がありました。「ワルザック共和帝国」の王子「ワルター・ワルザック」です。3人組を「お子」と呼び、操縦技術など高い能力を持っていますが、世間知らずゆえの甘さからひどい目に会うというのが本作前半のパターンでした。

 このワルターは後半から「イーター・イーザック」として3人組の仲間となります。この時に戦うことになるのが、実の弟である「シリアス・ワルザック」であり、最終的には父である「トレジャー・ワルザック皇帝」と戦うことになりました。

 こういった展開から、ワルターを本作の陰の主役と考える人もいます。もっとも、この家族の因縁も本作らしい空気感で描かれているため、途中経過はともかく最終的には笑みがこぼれる展開で締めくくられました。

 前述した本作の空気感、それをよく表したふたつのエピソードがあります。ファンも話題にすることの多い本作屈指のエピソードでした。

【画像】こちらが「22%パワーアップ」したというハニワ「ゴルソドラン」です(6枚)

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