【漫画】能登半島地震で震度6強、被災生活をどう乗り切った? 5.5万人「学びになった」
自宅でのんびりとお正月を過ごしていた作者。突然スマートフォンから響いた緊急地震速報のあと、経験したことのない大きな揺れが……。能登半島地震の体験談を描いてX(旧:Twitter)で公開されたマンガが、「当時の状況が良く分かる」と話題になりました。作者のまえだ永吉さんにお話を聞きました。
両親や弟、祖父母との被災後の生活を描く

能登半島地震で被災した体験談を描いたマンガ「能登半島地震体験記」が、X(旧:Twitter)で合計5万5000以上のいいねを集めて話題になっています。
令和6年の元日、作者が自宅でくつろいでいると、突然スマートフォンの緊急地震速報が鳴り始めました。大きな揺れに備えて家族と家の外に出たのですが、その直後に明らかにいつもとは違う大きな揺れが……。両親や弟、祖父母との被災後の生活を描いた作品に、読者からは「学びになりました」「震度6強と5強では比べものにならないですよね」「うちも似たような状況だったので、あるあるだらけでした」などの声があがっています。
このマンガを描いたのは、漫画家、イラストレーターのまえだ永吉さん(@eikiccy)です。体験談や日常の出来事をマンガにして、Xやブログ「まえだ永吉の永遠に吉がいい」で発表しています。まえだ永吉さんに、作品についてのお話を聞きました。
※この記事で紹介している体験記の続きは、まえだ永吉さんのnoteやKindle(電子書籍)で読むことができます。
ーー震災が発生したときの心境について、差し支えない範囲で教えていただけますか?
経験したことのない揺れに、ただただ恐怖で動けませんでした。揺れがおさまるのをひたすら待つのですが、なかなかおさまらず「家が崩れる!」と本気で思いました。パニックではあったのですが、マンガに描けるほどには周りの状況も見えていました。
ーー生活面で特に大変だったことは何でしょうか?
1番はやはりお風呂です。日に日に乾燥していく肌、脂っぽくなっていく頭皮……。毎日ボディシートで拭いていてもスッキリしないので、本当にしんどかったです。ひんぱんに起こる余震もストレスでした。緊急地震速報もよく鳴っていて、またあの揺れがくるんじゃないか、今度こそ家が崩れるんじゃないか、とずっとヒヤヒヤしていました。
ーー震災後の生活で役立った知識やアイテムはありますか?
蛇口付きのミニポリタンクは役立ちました。給水でもらってきた水を移して、普通の蛇口のように使えます。他にはストロングタイプの紙コップでしょうか。普通の紙コップだと小さいうえ強度もあまりないのですが、ストロングタイプは大きくて強度もあったので、交換する回数も減り、ゴミも少なくなりました。
ーーこの地震がきっかけで、以前から変化したことはありますか?
貴重品などをひとつのバッグに入れて、家のなかでも持ち歩いています。避難するときに「最低限、これさえ持って出れば……」という感じです。寝るときはこのバッグと防寒具もセットしています。また、緊急地震速報がいつ鳴るか分からないので、スマホを手放せなくなりました。母はローリングストックを意識して買い物しています。
ーーマンガを制作するときに、気を付けていることはありますか?
「伝わりやすいように……」と心がけています。また、体験談でも日常マンガでも、どこかでクスっと笑えるような場面を作るように意識して描いています。
ーーマンガ「能登半島地震体験記」について、どのような意見が寄せられていますか?
「被災地の状況が伝わった」「防災意識が高まった」など、うれしい感想をいただきました。ほかの地域で被災した方からの応援のメッセージもあり、泣きながら読みました。また、甚大な被害が出ているのにコミカルに描いていいのか、かなり悩んだのですが、「シリアスすぎず、読みやすい」「見えない部分でしんどかったんだろうな」という感想もあり、救われました。
ーーマンガ「能登半島地震体験記」を描いたきっかけを教えて下さい。
被災経験は一人ひとり違うものなので、そのひとつとして私の経験が誰かの役に立てばいいなと思い、描き始めました。あと、ストレスも発散したくて。「いまこんな状況なんだよ、みんな聞いて!」みたいな感じです。
ーーマンガを描き始めたのは、いつ頃からでしょうか?
10年前くらいに、原作付きの短編を小学生向け冊子で何作か描いたのですが、それ以来描いていませんでした。「まえだ永吉」でエッセイマンガを描き始めたのは2023年からです。きっかけとしては、自分のグチをマンガにしてストレス発散したかったからです。
ーー創作活動で今後、取り組んでいきたいことを教えて下さい。
引き続き体験談や自分の日常マンガは描いていきたいのですが、少し絵柄を変えた創作マンガも描きたいです。ブログの更新頻度もあげたいですね。読んでくれる皆様の暇をつぶせるようなマンガを発表していきたいです。
(マグミクス編集部)