PG「νガンダム」ついに発売 歓喜の裏でささやかれる不安材料「どうせ買えねーよ」
数多くのガンダムの中でもトップクラスの人気を誇るνガンダムは「宇宙世紀最強のガンダム」という呼び声も高いMSです。しかし、その1/60スケールのガンプラ発売を不安視する人も少なくありません。
「νガンダム」最大の魅力は「フィン・ファンネル」?

先日行われた大阪・関西万博に向けたガンダム大型イベント「GUNDAM NEXT FUTURE FINAL」で、「PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 ν(ニュー)ガンダム」の商品化決定が発表されました。
話題は瞬く間にファンのあいだで拡散し、SNS上でも大いに注目を浴びます。この「νガンダム」がガンダムファンだけでなく、幅広い層にも高い知名度があるのはなぜでしょうか。
「RX-93 νガンダム」は、1988年に公開された映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の主役MS(モビルスーツ)です。パイロットは「アムロ・レイ」、「ガンダム」シリーズ最初の作品で後に「ファースト」と呼ばれるようになった『機動戦士ガンダム』の主人公でした。
νガンダムは、初代ガンダムである「RX-78 ガンダム」以降のガンダムである「MSZ-006 Zガンダム」や「MSZ-010 ZZガンダム」が、パーツを増やすという恐竜的進化を遂げたことと反するように、原点に立ち戻ったかのようなシンプルさがあります。そういった部分からも、νガンダムがRX-78の正当後継機という立場にあることがわかるでしょう。
またガンダムといえば、白青赤のトリコロールカラーが定番でした。ところがνガンダムは白と濃紺(ミッドナイトブルー)のツートンカラーが基調です。このトリコロールよりもシックで大人びた雰囲気のあるカラーリングが、νガンダム人気の一端を担っているかもしれません。
そしてνガンダムのシルエットに大きな影響を与えた兵装が、背中に装備された「フィン・ファンネル」です。これは「ガンダムにマントを付けたい」という富野由悠季総監督のアイディアでした。そのため、このフィン・ファンネルがνガンダム最大の特徴だといえるかもしれません。
ところが『逆襲のシャア』シリーズで一番初めに発売されたプラモデル、いわゆるガンプラ「1/144 RX-93 νガンダム」(1987年12月発売)にはフィン・ファンネルが付いていません。それはなぜでしょうか。実は発売された時期が劇場公開前で、当初はフィン・ファンネルの設定は公開されていなかったからでした。
その後に「逆襲のシャア」商品シリーズ最後の1/144商品として、フィン・ファンネルが追加された「1/144 RX-93 νガンダム(フィン・ファンネル装備型)」(1988年7月発売)がラインナップされています。ちなみに『逆襲のシャア』の公開が1988年3月ですから、当時のファンは4か月ほど待たされたことになりました。
もっともフィン・ファンネルが付いていなかった理由として、価格が上がってしまうからという説もあります。後に発売された「ENTRY GRADE 1/144 νガンダム」(2022年4月発売)は、おそらく同様の理由でフィン・ファンネルのないνガンダムでした。
2022年4月に実物大νガンダム立像である「RX-93ff νガンダム」が発表され、以降はこのバージョンの「ロングレンジ・フィン・ファンネル」装備のものも商品化されています。今後もこういったバージョンアップがあるかもしれません。
ともあれ、このフィン・ファンネルがνガンダムの大きな特徴であることは間違いないでしょう。そして、これまで「ビット」や「ファンネル」といったニュータイプ用兵器に苦戦したガンダムが、それを使うというカタルシスこそがνガンダムの大きな魅力なのでした。