同じ作者なワケ…ウソでしょ? 衝撃の「絵柄変化」を遂げた漫画家たち
多くの漫画家は、活動期間とともに少しずつ絵柄が変化していくものです。しかしその変貌ぶりは人によって大きく異なるようで、「別人レベル」の変化を遂げた漫画家も存在します。
同じ作者が描いたって信じられる?

たとえプロの漫画家であっても、同じ絵柄をキープし続けることは至難の業です。絵の上達、新しい作風への挑戦、時代の変化など、さまざまな要因によって絵柄は変わっていくもので、活動期間とともに劇的な変化を遂げた漫画家も少なくありません。
まず、そのひとりとして挙げられるのが澤井啓夫先生です。代表作『ボボボーボ・ボーボボ』は破天荒すぎる世界観で一世を風靡(ふうび)した「週刊少年ジャンプ」(集英社)の作品で、ノリの良いギャグと、それを引き立てる荒っぽい画風が特徴的でした。しかし「首領パッチ」を主人公に描いたスピンオフ作品『ふわり!どんぱっち』では、ネット上に衝撃が走るほど異なる作風を披露することになります。
不条理ギャグバトルマンガから日常系ほのぼのギャグに路線を大きく変更したこの作品は、物語の舞台も現代日本を思わせる現実的な町へと変わっていました。そして絵柄に関しても、まるで『よつばと!』などの日常系マンガを彷彿とさせるほんわかとした雰囲気に変わっていたのです。
あまりの変わりように、当時のネット上では「これ『ボーボボ』と同じ作者なの? ウソでしょ……」「別人が描いてるスピンオフだと思った」などの声が広がっていました。
『あさりちゃん』の作者である室山まゆみ先生も、時代とともに絵柄を大きく変化させた漫画家として有名です。『あさりちゃん』は主人公「浜野あさり」の日常を描いたギャグマンガで、小学館の学年誌を中心に30年以上にわたって連載されていました。
連載当初は、男女の読者を問わない作風で描かれていたあさりちゃんですが、連載が続くにつれて「輪郭線と一緒だった口が小さくなる」「前髪の上に描かれていた目が、前髪の下に描かれるようになる」「耳がどんどん大きくなる」などの変化が見られるようになります。
特に「ちゃお」(小学館)で連載されて以降は、ペンタッチがより繊細になり、少女マンガチックなかわいらしい絵柄に変わっていった印象です。ネット上でも「あさりちゃんって、いまこんな絵柄になってるんだ」「初期と後期で全然違う」「あさりちゃんがめっちゃかわいくなってる!」といった声が多く見受けられます。
連載中に絵柄が大きく変化した作家として、ネットユーザーの間で有名なのが西脇だっと先生です。TYPE-MOONの美少女ゲーム『Fate/stay night』をコミカライズし、2006年から2012年にかけて連載していました。
同作において大きく変化したのは、主人公の描き方です。連載当初、主人公の「衛宮士郎」は、優しげで少しなで肩ぎみの少年として描かれていました。しかし「聖杯戦争」と呼ばれる戦いに身を投じていくうえで、彼はどんどんビルドアップし、筋肉質な体つきになっていきます。
もはや最終盤ではボディビルダー並のマッチョとなり、初期の頃の面影はまるでありません。「鍛え上げられた」としか言いようがない士郎のあまりの変わりようから、ネット上では「Fate鍛えNight」と呼ばれ、いまでもファンの間で語り草となっています。
(ハララ書房)