今夜の金ロー『キングダム』 成功要因に2.5次元俳優「本郷奏多」の存在
ガンツスーツも素敵にコーデ
本郷奏多さんならではの魅力が発揮されたのは、松山ケンイチさんとの共演作『GANTZ』(2011年)でしょう。本郷さんの細身な身体は黒いガンツスーツによく似合い、さらにパーカーを重ねるというナイスなコーデでした。本郷さん演じる西丈一郎は、仲間を囮(おとり)にして戦うというクールな少年です。ガンツ世界の無情さを、とても分かりやすく体現したキャラクターでした。『GANTZ』と『キングダム』、どちらも佐藤信介監督の作品です。
本郷さんの過去のインタビュー記事などを読むと、「お菓子が主食」「食事には時間を費やさない」「自宅に友達が遊びきたら、玄関で着替えさせる」などのユニークなライフスタイルが語られています。そんな素顔も、2.5次元っぽさを感じさせます。
スリムな体型、20代後半には見えない若々しい容姿、体温を感じさせない独特な雰囲気が本郷さんにはあり、『進撃の巨人』(2015年)や『鋼の錬金術師』(2018年)などの人気マンガの実写化作品にもうまく溶け込んでいます。
主演も助演も演じられる演技力
マンガ原作ではありませんが、人気作家・乙一氏のミステリー小説を映画化した主演作『GOTH』(2008年)も、おすすめの一本です。殺人事件にどうしようもなく魅了されてしまう高校生を演じており、本郷さんのクールな美少年ぶりを堪能することができます。麻雀の世界を舞台にした主演ドラマ『アカギ』(BSスカパー!)では、ベテラン俳優の津川雅彦さんを相手に堂々とした演技を披露しています。主演と助演のどちらも対応できるところも、本郷さんの俳優としての魅力でしょう。
すらっとした体型と涼しげな顔立ちの神木隆之介さんも、『るろうに剣心 京都大火編』(2014年)や『バクマン。』(2015年)など人気コミックの実写化作品にたびたび起用されています。神木さんも本郷さんも繊細な演技で定評がありますが、神木さんはコメディシーンもある陽性のキャラ、本郷さんは屈折した内面を持つ闇系のキャラを演じることが多いようです。
ホラー作家・平山夢明氏の人気小説を映画化した『Diner ダイナー』(2019年)では、本郷さんは見た目は子供だけれど実は残虐な殺人鬼・キッド役を演じています。これも本郷さんならではのキャラでした。7月からNHK BSプレミアムで放映が始まる『大江戸もののけ物語』では、「天の邪鬼」という妖怪を演じるそうです。主演・助演に関係なく、本郷さんの出演作品は気になって観たくなってしまいます。これからもユニークな役で、大いに楽しませてくれるに違いありません。
(長野辰次)