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『超電磁マシーン ボルテスV』真の主人公は悪い宇宙人? 大人になって「しっくり」

1977年6月4日、TVアニメ『超電磁マシーン ボルテスV』の放送が開始されました。注目すべきは、美形の悪役プリンス・ハイネル。近年はゲーム『スーパーロボット大戦』で破格の扱いを受けるほどの人気キャラクターです。

プリンス・ハイネルの存在感

『超電磁マシーン ボルテスV』DVD Vol.1(TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D))
『超電磁マシーン ボルテスV』DVD Vol.1(TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D))

 1977年6月4日はTVアニメ『超電磁マシーン ボルテスV』(以下、ボルテスV)の放送が開始された日です。『超電磁ロボ コン・バトラーV』の後を引き継ぎ放送された本作は、巨大ロボット「ボルテスV」の迫力もさることながら、美形悪役プリンス・ハイネルの出自を巡るストーリーが人気を呼び、繰り返し再放送され当時の子供たちに熱烈な支持を受けました。再放送を見るたびに、「ひょっとして主人公はハイネルじゃないの?」と感じるようになっていったライターの早川清一朗さんが、思いを語ります。

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 正直な話をすると、小さい頃の筆者は『コン・バトラーV』と『ボルテスV』の区別がついていませんでした。

 かろうじて理解できていたのは、『ボルテスV』は超電磁ヨーヨーではなく超電磁ゴマを使うこと、必殺技が超電磁スピンではなく天空剣であること、そしてチームにひとりだけの女性パイロットが下駄の部分に搭乗している、この3点のみでした。

『ボルテスV』は昭和50年代の夕方に数え切れないほど再放送されており、筆者もいったい何回見たのか記憶にはありません。ただ、最初の頃は「がんばれボルテスV、悪い宇宙人をやっつけろ!」と思っていたはずが、徐々にストーリーが理解できるようになっていくと、俄然、敵であるはずのプリンス・ハイネルの存在が気になりだしたのです。

 ハイネルが生まれたボアザン星は地球から14000光年の彼方にあり、生まれつき角があるか、ないかで厳格に身分が定められています。角があるものは貴族、角がないものは労奴として区別されていたため社会に不満が渦巻いていたのです。

 ハイネルの父親であるラ・ゴールは皇位継承権を約束されていた高貴な身分だったのですが、実は角を持たずに生まれており、付け角であることを暴露されて失脚、反乱を起こしたのちに地球へと落ち延びたのです。そのとき、まだ赤子のハイネルはボアザン星に残されたままでした。

 ハイネルには生まれつき角があったのですが、反乱者の息子として後ろ指を指される立場であり、皇帝への忠誠心を示すために辺境の地である地球攻撃司令官としての任に就くこととなったのです。

 しかしそれは、ハイネルをより過酷な状況に追い込む選択でもありました。

【画像】存在感が主役級!美形悪役のハイネル

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