『超電磁マシーン ボルテスV』真の主人公は悪い宇宙人? 大人になって「しっくり」
弟たちとの死闘、そして『スパロボ』での救済

一方、反乱を起こしたラ・ゴールは剛健太郎と名を変え、新たな家族を作り上げていました。3人の息子の名前は健一、大次郎、日吉。剛三兄弟ことボルテスチームのメンバーだったのです。健太郎はボアザン星人の侵略に備えてボルテスVを造り上げたのですが、混乱するボアザン星を放置できず、地球を離れ労奴解放の地下運動に従事するようになりました。
そして地球を侵略しようとするハイネルと、地球を守るために戦う剛三兄弟は、互いの素性を知らぬまま、血で血を洗う死闘を繰り広げることになったのです。
さらにはハイネルの失脚を狙う政敵たちからはスパイを送り込まれ、絶えず暗殺・謀殺の危機にさらされていますが、ごく一部の信をおける側近たちと共に乗り切っていくのです。
とはいえボルテスVを相手に勝利を収めることはできず、最終的には地球攻撃司令官を解任される憂き目にあい、地球にひとり取り残されてしまうのです。 それでも側近たちの献身的な働きによりボアザン星に帰還したハイネルは、労奴たちの反乱による混乱の最中、ボルテスVとの最後の戦いに臨み、相打ちに持ち込みます。
生身となってもまだ戦い続けたハイネルは、目の前の憎きボルテスのパイロット、健一が持つ父親の形見の短剣を見て、実は弟と戦っていたことに気づくのです。 そして最後は爆風から身を挺して健一を守ると、燃え上がる城のなかで「お父さん……」と言い残しながら最後を迎えます。
過酷な運命を背負いながらも戦い続け、最後は弟を救い散っていく。これだけ劇的なキャラクターに人気が出ないはずはありません。放送当時は監督の長浜忠夫氏の元に女性ファンから数多くのファンレターが届いており、同人誌さえ作られていたそうです。今も昔も、熱烈なファンの情熱が行きつく先は同じなのでしょう。
また『スーパーロボット大戦』シリーズにも登場しているハイネルは、『α』シリーズで強力なキャラクターとして参戦し、最終的には剛兄弟から「兄さん」と呼ばれるなど破格の扱いを受けています。
『ボルテスV』の主人公はハイネルだと考えると、本当にしっくりくる。今の筆者は、そのように感じています。
(早川清一朗)


