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『勇者ライディーン』なにが新しかったの? ロボアニメの風向きを決めたといえるワケ

ロボットアニメのなかでもいまだに根強い人気を誇る『勇者ライディーン』が放送から半世紀を迎えました。その制作過程を見ると、『ライディーン』がロボットアニメに与えた影響の大きさがわかります。

ロボアニメの歴史を語るうえで決して外せない理由は?

主人公「ひびき洸」と主役ロボ「ライディーン」。「想い出のアニメライブラリー 第136集 勇者ライディーン Blu-ray」(ベストフィールド)
主人公「ひびき洸」と主役ロボ「ライディーン」。「想い出のアニメライブラリー 第136集 勇者ライディーン Blu-ray」(ベストフィールド)

 本日4月4日は、1975年にTVアニメ『勇者ライディーン』が放送開始した日です。今年2025年で半世紀の時が経ちました。本作がロボットアニメの歴史を語るうえで外せないといわれているワケについて振り返ってみましょう。

 本作の企画は東北新社です。きっかけは当時の大人気作品だった『マジンガーZ』のヒットに触発されたものでした。アニメーション制作は創映社、後の日本サンライズの母体ともいえる会社です。

 つまり『マジンガーZ』に続き『ゲッターロボ』というロボットアニメで一強だった東映動画(後の東映アニメーション)以外の場所から、本作『勇者ライディーン』は始動しました。それゆえに本作は『マジンガーZ』を意識した作品としてさまざまな工夫が加えられることになります。

 監督は富野喜幸(現在は由悠季)さん、キャラクターデザインは安彦良和さんという後の『機動戦士ガンダム』を送り出すことになるふたりでした。もちろん本作でもその才能を発揮しています。

 キャラクター的に斬新な点だったのは、後にロボットアニメの定番となる、主人公と同世代の美形悪役キャラ「プリンス・シャーキン」を生み出したことでしょうか。その人気は当初、意図していなかった女性ファンを多く獲得することになります。

 この女性ファンの獲得は大きな変化をもたらしました。それまであまりなかったファンが制作スタジオに押しかけるといった行為は、本作がきっかけだったという証言もあります。いわゆるアニメ作品に対してファン活動が活発化したきっかけのひとつが、本作によるものだったのかもしれません。

 もちろん本来のターゲット層である男子児童にも魅力的な部分はありました。それが主人公ロボである「ライディーン」です。なぜならライディーンはデザイン的に「マジンガーZ」とは真逆の点がいくつもありました。

 マジンガーの西洋甲冑に対してライディーンは日本甲冑をベースにデザインされています。また、ほとんどが内蔵武器だったマジンガーに対して、ライディーンは剣が内蔵された盾や、弓と矢という外装武器がメインとなっていました。

 黒を基調としたシックなマジンガーに対して、ライディーンは青、赤、白というトリコロールで派手な色使いをしています。後の巨大ロボを見ていくと、このライディーンのトリコロールカラーが徐々に主流となっていったことがわかるでしょう。

 もっとも大きく違う点は、ライディーンは変形して「ゴッドバード」という別な形態になれる点です。この点が当時の子供たちに訴求力があった部分ではないでしょうか。なぜならライディーンは「変形ロボ第1号」といえる存在だったからです。

 もちろん「ゲッター1」をはじめとするゲッターロボもいわゆる変形合体ロボであり、ライディーンに1年先んじて存在していたのですが、このゲッターロボには超えられない壁がありました。それは、変形合体をオモチャでは再現不可能だったことです。

 ライディーンはここをクリアし、オモチャでもほぼ劇中通りの変形ができます。当然、当時の子供には期待の新商品でした。その結果、ライディーンの超合金は飛ぶように売れることになります。同時期のオモチャとしては押すに押されぬ大ヒットとなりました。

 このライディーンのヒットがあったから、後の巨大ロボの多くは変形または合体で形が変わることが定番化されるようになったといえるでしょう。それほどライディーンのヒットは玩具業界に大きな衝撃を与えました。

【画像】当時のお約束 こちらサービスたっぷりだった本作ヒロイン「桜野マリ」です

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