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誰でも観られる「攻めすぎ」マンガ原作映画 「R指定が妥当」「まさかのキャストが」

過激シーンも込みで人気のマンガが実写化されると、観る層を狭めないようにR指定にはならない程度の描写にとどまる例も少なくありません。ただ、それでもうまく決定的な場面は見せずに、攻めた表現をした作品もありました。

映倫に直接確認しに行った制作陣

夏菜さん(2019年9月、時事)
夏菜さん(2019年9月、時事)

 毎年数々のマンガの実写化作品が公開されており、そのなかにはかなり過激な表現が含まれている作品も少なくありません。なかには、原作ほどの攻めた表現はできずとも、一応誰でも観られる年齢指定の範囲でギリギリの演出をした映画もありました。

 実写化発表当時、ネット上で「R指定にしなきゃ無理だろ」といった声が多かったのは、2011年に2部作で公開された『GANTZ』(原作:奥浩哉)です。死後に謎の黒い球体「ガンツ」によって集められ、危険な「星人」たちと戦う主人公たちを描いた同作は、グロテスクな表現も性的な描写もかなり露骨に描いていました。

 映画版は二宮和也さん、松山ケンイチさん主演のメジャー作品ということもあり、過激な場面はPG12指定(12歳未満の児童には保護者の助言や指導が必要)に収まる程度に抑えられています。設定上、主人公「玄野計(演:二宮和也)」たちが戦うのは夜間の街中や駐車場など暗い場所が多いこともあって、残酷描写もくっきりとは見えないようになっていました。

 とはいえなかなかえぐい場面もあり、たとえば敵の「ネギ星人」の親子のビジュアルや、彼らがたどる末路はなかなかグロテスクで、R指定ではないことに油断した人たちからは「グロ耐性なかったからネギ星人のとこで耳ふさいで見てなかった」「ネギ星人の父親が人の頭を握りつぶすシーンで劇場出た」といった声も出ています。

 また、いちばん驚いた人が多かったであろう場面は、前編のヒロイン「岸本恵(演:夏菜)」の初登場シーンです。自宅の浴室で手首を切ってガンツの部屋に転送されてきた岸本は、全裸で玄野たちの前に姿を現します。実写版ではギリギリ全身は見えないように、この登場シーンが再現されました。

 オーディションで岸本役に選ばれた夏菜さんは、のちに自身のYouTubeなどで身体にラインがつかないように撮影数日前から下着を身に着けずにすごしたことや、母親に協力してもらって全身の毛を剃ったこと、撮影中の3日間はほぼ何も食べていないし、睡眠時間は2、3時間だったことなどを振り返っています。

 俳優陣やVFXの頑張りによって、PG12ながらなかなか攻めた表現の作品になっており、人によっては「グロいの苦手な人にはおすすめできない」という意見も出ていました。

 そのほか、人間になりすまし捕食する「パラサイト(寄生生物)」たちと人類の戦いを描いた名作『寄生獣』(作:岩明均)の映画版(2014年、2015年公開の2部作)も、PG12にとどまりながらもかなりのグロテスクな表現で観客を驚かせた作品です。

 寄生生物たちのビジュアルが実写では生々しくなるのはもちろん、彼らに殺された人間の首や胴体の切断面、内臓なども映り、映画前編がTV放送された際には一部のシーンがカットされました。公開時のパンフレットやその他の各種インタビューでは、断面では臓器と骨の層の構造を美しく見せるようにしたことや、人体損壊の瞬間は映さないようにしたこと、またプロデューサー陣が絵コンテやシナリオを持って映画倫理機構(映倫)に行き、どこまでの表現ならPG12で済むのかを確認したことも明かされています。

 監督の山崎貴さんほかスタッフたちがPG12のギリギリを攻めた実写『寄生獣』は、「なぜR指定じゃないのか分からん」「PG12のグロの上限値の参考作品は実写版『寄生獣』だと思ってる」「悪趣味にならず、でも物語の緊迫感を出すために必要なグロのちょうどいいラインだと思う」などの意見が多く、攻めた作品の代表格となりました。

 また、近年でも「兵士がヒグマに顔面の皮を剝がされる」場面を、原作から視点を変えることでなんとか再現した2024年の『ゴールデンカムイ』(原作:野田サトル)など、攻めた表現のPG12指定作品が公開されています。同じ2024年の作品では、韓国の人気コミックを日本で映画化した『他人は地獄だ』(原作:ヨンキ)も話題を呼びました。

 本作は生活に困り格安シェアハウスに引っ越した主人公が、不気味な住人たちが起こす事件に巻き込まれるサスペンスホラーで、ナイフや拷問による流血シーンも多く描かれています。また、虫たちがうじゃうじゃ入った瓶や、おぞましい「焼肉」の場面、とあるメジャーなキャストの「生首姿」も出てくるため、PG12ながらかなり注意が必要な内容です。

 ただグロテスクなだけでなく、精神的に追い詰められるような嫌な演出も多い本作には、「これPG12でいけるんだ……と思うようなゴアもだけど本当に嫌な気持ちになれて最高」「『グラディエーターII』(同時期に公開されていた映画)がR15+で、これはPG12……気分的にはR18+だが」など、衝撃を受けた観客の声が相次ぎました。

(マグミクス編集部)

【画像】え…っ? 正直「全身見えそうでした」 こちらが夏菜さんが衝撃シーンを再現した実写版映画です

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