男の子も夢中になった『魔法のスターマジカルエミ』 主人公・舞の「最後の決断」
1985年6月7日に放送を開始した『魔法のスター マジカルエミ』は、スタジオぴえろ(現:ぴえろ)という制作会社が送り出した、『魔法の天使クリィミーマミ』『魔法の妖精ペルシャ』に続く「魔法少女シリーズ」第3弾。マジック劇団の家に生まれた不器用な女の子、香月舞が魔法の力で天才マジシャン「マジカルエミ」に変身して活躍します。
スタジオぴえろ 魔法少女シリーズ第3弾

1985年6月7日はTVアニメ『魔法のスター マジカルエミ』(以下、マジカルエミ)の放送が開始された日です。マジック劇団の家に生まれた不器用な女の子、香月舞(以下、舞)が魔法の力で天才マジシャン「マジカルエミ」に変身して活躍します。小さい頃に姉とのチャンネル争いに敗れて見ていた『マジカルエミ』にハマり、後にLD-BOXを購入したライターの早川清一朗さんが想いを語ります。
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筆者が小学生の頃、平日の夕方にはさまざまなアニメが放送されており、そのなかには女の子向けの作品もたくさんありました。
一応男の子なので女子向けにはそんなに興味がなかったのですが、筆者には姉がおり、家にはTVが一台しかなかったので、しばしばチャンネル争いに敗れ一緒に見る羽目に陥っていたのです。再放送が繰り返された『キャンディ・キャンディ』『はいからさんが通る』『花の子ルンルン』などは何回見たのか記憶にありませんが、新作として放送された作品もいくつか見ていました。そのなかのひとつが『マジカルエミ』です。スタジオぴえろ(現:ぴえろ)という制作会社が送り出した、『魔法の天使クリィミーマミ』『魔法の妖精ペルシャ』に続く 「魔法少女シリーズ」第3弾にあたります。
『マジカルエミ』のストーリーは主人公の舞が鏡の妖精トポと出会い、「願いの叶う魔法」をもらって「マジカルエミ」に変身し、魔法を使ったマジックを披露しスターになってアイドルとして活躍するという、1980年代魔法少女作品の王道と呼べるものです。
日常で起こるトラブルを魔法で解決したり、ステージでマジックを披露したり、舞が恋をしたりと、『マジカルエミ』の世界では魔法こそ存在しているものの、世界をひっくり返す事件のような出来事は基本的には起きません。作品全体を覆う「何かが起きそうで、何も起きない」という空気感と、一人一人が自分の人生を生きようとするキャラクターたちの魅力に惹かれ、いつの間にか放送時間になると毎週必ずTVの前に陣取るようになっていたのです。