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『ウテナ』『ARIA』声優・川上とも子さん 亡くなって9年「過去の人」ではない

『ARIA』アテナに込められた皆の想い

『ARIA The ANIMATION』画像はDVD Navigation.6(松竹ホームビデオ)
『ARIA The ANIMATION』画像はDVD Navigation.6(松竹ホームビデオ)

 そんな川上さんの代表的な役のひとつが、『ARIA The ANIMATION』に登場したアテナ・グローリィです。「水の3大妖精」のひとりとして主人公である灯里を導くだけでなく、極上のカンツォーネ(舟謳)の歌い手として高い評価を受ける独特な存在感を放つキャラクターを、川上さんは見事に演じ切りました。

 思えば、アテナが作中で披露するカンツォーネ「バルカローレ」の歌唱を担当した河井英里さんも、2008年に肝臓がんで亡くなっています。アテナを作り上げたふたりの担い手がどちらも亡くなっていることに、世の無常を感じさせられます。

 制作スタッフの川上さんへの思い入れも強く、既に病魔に侵されていた2009年に発売された『ARIA The NATURAL DVD-BOX』特典ドラマCDの収録は、川上さんの体調の回復を待って行われました。2015年に制作されたアニメ『ARIA The AVVENIRE』のエンディングにはアテナ・グローリィ役として、出演は叶わない川上さんの名前が特別に刻まれています。

 2020年冬にはTVアニメ放送15周年記念プロジェクトとして『ARIA』完全新作の公開が決定していますが、川上さんの代役を佐藤利奈さんが務めるにあたり、松竹の飯塚寿雄プロデューサーは新作への想いを丁寧に説明し、「もちろん、川上さんも引き続きARIAファミリーです」と締めくくってくれました。

 多くの人にその死を惜しまれた川上さんには、2012年に発表された第6回声優アワードで、「表彰すべき特別な活動」に対する賞として「声優アワード特別賞」が贈られました。授賞式には川上さんの母親が出席し、「とも子はもう過去の人だろうに、このような賞をいただきありがとうございます」と述べたそうです。

 そのとき司会を務めていた長谷川太(のび太)アナウンサーは「アニメの世界に過去の人というものはいないんです」と答えています。

 今年もまだ、川上さんは過去の人ではありません。おそらくこの先もずっと、過去の人ではないでしょう。川上さんの声を心に刻んだ人たちが、こうして記事を読んでくださっているのですから。

(ライター 早川清一朗)

【画像】川上とも子さんの出演作(6枚)

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