『Theかぼちゃワイン』ヒロインは30歳になっても未婚のまま!?　意外だったプロポーズの数年後

実はプロポーズの「その後」が描かれていた

　かつて人気を集めたマンガ作品のなかには、雑誌での連載終了後に続編が展開されたものも少なくありません。しかし掲載誌が変わったなどの理由から、その事実を知らない読者は意外と多いのではないでしょうか？

　高身長女子ラブコメの元祖として知られている三浦みつる先生のマンガ『Theかぼちゃワイン』も、そうした作品のひとつです。「週刊少年マガジン」（講談社）での連載は1984年に幕を閉じましたが、実は主人公たちの物語にはまだ続きがありました。

　本作は小柄で女嫌いの男子中学生「青葉春助」と、その体格の良さから「エル」と呼ばれている高身長ヒロイン「朝丘夏美」、通称「SLコンビ」が紡ぐドタバタラブコメディです。身体は小さいけれど、ツッパリで根性のある春助のことをすっかり気に入ってしまったエルは、どんなに邪険に扱われても一途に慕い続け、アプローチしていきます。

　あるときはお弁当を作り、またあるときは春助のためにマフラーを編むなど、とにかく献身的で優しくて、それでいてかわいくてグラマラス……。ほかのヒロインにはないエルの大きな魅力に、当時多くの少年たちが心を奪われました。

　もちろん春助もうっとうしく思いながらも、内心ではエルに心惹かれており、最終回では「おまえをおれの嫁さんにしてやる!!」とプロポーズします。ラストのシーンには、ふたりの左薬指に指輪が光っている様子が描かれ、紛うことなきハッピーエンドで幕を閉じました。

　とはいえ最終回のふたりはまだ学生で、正式には結婚していません。果たして「SLコンビ」はあれから無事に結婚したのかどうか、その答えは短編描き下ろし本『バック・トゥ・The かぼちゃワイン』に描かれていました。

　2017年に完成した本作は、三浦先生自身がクラウドファンディングで支援を募り、自主制作した作品です。なお三浦先生はこの作品をもって漫画家を引退しているため、『バック・トゥ・The かぼちゃワイン』が先生にとって漫画家人生最後の作品となります。

　本作ではすっかり大人になった30歳のふたりが登場するものの、結婚はまだしていません。なかなか定職に就くことのできない春助が、キャリアウーマンとしてバリバリ働くエルにコンプレックスを感じ、結婚に尻込みしていたのです。そんなふたりの前に謎の人物が現れ、彼らをタイムスリップさせてしまうところから物語が展開されていきます。

　エルが別の男性と結婚する未来を見せられたり、タイムパラドックスに巻き込まれて存在が危うくなったり……。さまざまな困難に見舞われながらも、エルへの気持ちを再確認した春助は、ついにエルとの結婚に踏み切り、最後にはちゃんと式も挙げます。連載開始から30年以上の歴史を持つ「The かぼちゃワイン」シリーズは、ふたりの結婚というハッピーエンドで幕を閉じたのです。

　ちなみに『Theかぼちゃワイン』の続編はこれだけではありません。本編の完結後も、掲載誌や出版社を変えながら『The かぼちゃワイン 番外編』や、少し成長したふたりを描いた『The かぼちゃワイン sequel』、さらには春助が探偵家業をスタートさせる『The かぼちゃワイン Another』などの続編が展開されたものの、いずれも春助とエルの関係は微妙なままでした。

　それだけに最後の最後で結ばれた結末は、往年のファンにとって最高のエンディングだったのではないでしょうか？　もしも『Theかぼちゃワイン』のアニメシリーズがリメイクされるようなことが起きた場合は、ぜひふたりの晴れ姿を見届けたいところですね。

※正式なタイトルは「The」と「かぼちゃワイン」の間にハートが付きます。