スーファミ版『ストII』発売に歓喜! ゲーセンでは灰皿が投げつけられたことも…
1992年6月10日、カプコンよりスーパーファミコン版『ストリートファイターII』が発売されました。アーケード版では熱狂的なファンが列をなしていたゲーム。それが自宅で遊べるとなり、爆発的な人気作となりました。
待望の家庭用『ストリートファイターII』

1992年6月10日、カプコンからスーパーファミコン版『ストリートファイターII』(以下、ストII)が発売されました。アーケード版と比較するとグラフィックや音のクオリティは劣るものの、プレイ感は可能な限り忠実に移植されており、ゲームセンターでのプレイは難しかった小中学生中心に爆発的な人気を博し、スーパーファミコン歴代5位となる国内288万本を売り上げました。アーケード版をプレイしているときに何度も危ない目にあった経験から、家庭用ゲーム機で『ストII』を待ち望んでいたライターの早川清一朗さんが当時の記憶を語ります。
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あの日の放課後、筆者は『ストII』を予約していたファミコンショップに向けて、全力で自転車を漕いでいました。
1991年に発売されたアーケード版『ストII』は対戦格闘ゲームと言う新たな文化を生み出し、熱狂的なゲーマーたちが対戦台に列を作っていました。筆者もそのうちのひとりだったのです。
しかしながら、アーケード版の多くは対戦台と呼ばれる2台の筐体を向かい合わせにしたタイプで、ひとりでじっくり練習するチャンスはめったにありませんでした。さらには、当時のゲームセンターはあまり治安が良くない場所で、対戦で負けた相手が灰皿を投げつけてきたり、暴力をふるってきたりするのは日常茶飯事でした。対戦中に相手側が不穏な空気を醸し出している場合は、接戦を演じてわざと負けてさっさと逃げ出すということもありました。
スーパーファミコン版の発売当時、アーケードでは既に第2作となる『ストリートファイターII’(ダッシュ)』(以下、ストII ‘)が主流となってはいましたが、それでも安全に、いくらでもプレイできる家庭用『ストⅡ』は多くの人から待ち望まれていた存在だったのです。
息を切らせてファミコンショップに到着した筆者は、周囲を見渡しカツアゲを仕掛けてきそうな人間がいないのを確認すると店に駆け込み、店の奥に大量に用意されていた『ストII』を受け取って、自分の到着を待っている友人の家に向かって再び自転車を走らせたのです。