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2度目のファーストキス←ないはずだった? 『きまぐれオレンジ☆ロード』2つの結末

マンガを元にしたアニメ作品は、必ずしも原作通りになるとは限りません。大胆な改変はファンから反感を買いやすい一方、見事な演出や工夫によって高く評価されることもあります。80年代を代表するラブコメの傑作『きまぐれオレンジ☆ロード』もそのひとつでした。

30年経ても色あせない名作

画像は「きまぐれオレンジ☆ロードOriginal CDシネマ4~危険なふたり~」(ビクターエンタテインメント)
画像は「きまぐれオレンジ☆ロードOriginal CDシネマ4~危険なふたり~」(ビクターエンタテインメント)

 マンガをアニメ化する過程では、さまざまな事情によってストーリーや結末が大きく変更されることがあります。アニメの大胆な改変は一般的に評価されにくいものですが、そうした状況下においても好評を得たラブコメ作品が存在しました。それが、まつもと泉先生のマンガ『きまぐれオレンジ☆ロード』です。

 1984年より「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された本作は、80年代を代表するラブコメ作品として知られており、のちにTVアニメや映画も制作されました。超能力一家の長男である「春日恭介」が引っ越した街を散策中、赤い麦わら帽子を被った黒髪美少女「鮎川まどか」と出会い、転入先のクラスメイトになるところから物語が動き出します。

 まどかは学校一の不良で、学内では妹のようにかわいがっている後輩の「檜山ひかる」を除いて誰も寄りつかない孤高の存在でした。それでも恭介は臆することなく彼女との距離を詰めていき、まどかもまたそんな恭介に興味を持つようになります。しかしひょんなことから後輩のひかるも恭介のことを好きになってしまい、ふたりの間で思い悩むことになるのです。

 本作はいわゆる三角関係ものですが、実際は両片思いのような状態であり、恭介とまどかが惹かれ合っていることにひかるはまったく気付いていません。そうした3人の奇妙な関係も見どころのひとつでした。

 しかし最終的に彼らの関係は、恭介とまどかが結ばれる形で幕を閉じます。今まであやふやな態度をとってきた恭介ですが、最終回ではまどかのLA留学をきっかけに、「ひかるちゃんはLike…鮎川は…あいしてる」とようやく自分の気持ちをはっきりさせるのです。

 対してアニメ版は、第130話「想い出の樹の下で…」から続くエピソードを元に、最終話にあたる47話と48話が制作されました。

 このエピソードでは、まどかのファーストキスの相手が気になって仕方がない恭介が、祖父の超能力によって6年前の世界にタイムスリップします。そこでボーイッシュな女の子と仲良くなり、別れ際に彼女からキスをされました。実は彼女の正体は幼き頃のまどかで、ファーストキスの相手は未来からやって来た恭介自身だったのです。

 やがて現代に戻った恭介は、想い出の樹の下でまどかと再会し、ふたりが「2度目のファーストキス」を交わしたところでエンディングを迎えます。

 もちろん原作にあったような恭介の告白シーンなどは描かれていませんが、作中屈指の人気エピソード「想い出の樹の下で…」を採用したアニメの最終回は、原作ファンも納得する終わり方だったのではないでしょうか。またアニメオリジナルの要素も秀逸で、ラストの「2度目のファーストキス」も原作にはないシーンでした。

 アニメの最終回から30年以上経ったいまもなお、ファンからは「『想い出の樹の下で…』で最終回を迎えるのが素敵」「きまオレ以上の感動はない。そう思えるくらいラストのシーンは本当に良かった」といった声が聞こえてきます。

『きまぐれオレンジ☆ロード』は結末こそ異なる展開を迎えましたが、そのどちらも多くの人の心に深く刻まれているようです。

(ハララ書房)

【画像】振り向く姿がえっちい… こちらが黒髪美少女「鮎川まどか」のビキニ姿です

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