疲れた時にピッタリ？　「面白いし短い」実写化ドラマ　「原作とセットでもあっという間」

楽しいし勉強にもなる傑作ドラマも

　2025年もゴールデンウィークを迎え、この期間にいままで観られていなかったドラマを、まとめて鑑賞する予定の方も多くいるでしょう。ただ、普段の疲れもあり、あまり長い作品を観る体力はないという方もいるはずです。

　これまでには、地上波で短期間放送されたドラマや、特定の配信サービスで枠にとらわれず、ちょうどいい話数で完結したドラマも多数作られてきました。今回は計3時間ほどで全話を見ることができる、マンガ原作ドラマの振り返ります。原作マンガも短いため、セットでチェックしてみるのもいいかもしれません。

『幸せカナコの殺し屋生活』（全6話）

　若林稔弥先生の『幸せカナコの殺し屋生活』は、ブラック企業のOLからホワイトな殺し屋に転職した女子「西野カナコ」の活躍と日常を描いた人気ギャグマンガで、のんさん主演でDMM TVのオリジナルドラマとして実写化され、2025年2月から配信中です。話ごとに長さにバラつきがありますが、全6話を2時間40分ほどで観ることができます。

　ドラマ版はのんさんの天真爛漫な魅力が発揮されたはまり役で、配信開始時から好評を博してきました。殺し屋になってからイキイキとし出すカナコの、ころころ変わる表情の演技も見事ですし、原作通り肩に想像上の動物たちが現れて「ムリムリムリムリカタツムリ」などのギャグをいう原作通り場面も、のんさんだから違和感なく観られるといえます。

　また基本的に緩いコメディーながら、4コマ形式で進む原作では描けない、迫力のアクションシーンも話題となりました。「牙狼」シリーズや『ザ・ファブル　殺さない殺し屋』にも関わった横山誠さんがアクション監督を務めており、のんさんや職場の先輩「桜井」役の藤ヶ谷太輔さんの華麗な回し蹴り、銃さばきも楽しめます。原作マンガは2025年4月時点で7巻まで出ており、どのように映像化しているのか比較しながら観るのも楽しいでしょう。

『アポロの歌』（全7話）

　最近では、1970年に連載された手塚治虫先生の『アポロの歌』も、2025年2月から毎日放送の「ドラマイズム」枠で実写化され話題を呼びました。こちらは全7話×24分ほどで、3時間弱で鑑賞できます。現在はFODで配信中のドラマは、ストーリーの骨子は保ちながらも「新解釈版」となっており、全3巻の原作と比べるのもおすすめです。

　物語は「何度生まれ変わってもひとりの女性を愛し、結ばれる前に死ぬ」という運命を背負うことになった主人公「近石昭吾（演：佐藤勝利）」の悲劇を描いており、昭吾が事故で死なせてしまった幼なじみ「渡ひろみ」ほか各パートのヒロインは、高石あかりさんが演じています。

　地上波放送された作品のため表現は原作よりマイルドですが、昭吾に降りかかる受難は容赦なく、予想のつかない展開も見どころです。また、本作は高石あかりさんの演技の幅の広さも絶賛されました。

　ドラマ第4話からは未来を舞台に、ひろみそっくりの合成人「シグマ王」と昭吾の物語が描かれます。高石さんの抑揚のない無機質な声のトーンや、瞬きを一切しない表情の演技は必見です。2025年後期のNHKの連続テレビ小説『ばけばけ』の放送開始前に、高石さんの演技力をチェックしておく意味でもおすすめです。

『チャンネルはそのまま！』（全5話）

　北海道のローカルTV局を舞台にした『チャンネルはそのまま!』（原作：佐々木倫子　全6巻）は、2019年に北海道テレビでドラマ化され、同年の日本民間放送連盟賞のTV部門全体でグランプリを受賞するほどの高評価を得ました。

　本作は北海道☆（ホシ）テレビに「バカ枠」で採用されたヒロイン「雪丸花子（演：芳根京子）」が、報道部で起こす騒動と成長物語を描いています。原作マンガのトーンをしっかり再現したコメディー演出や、雪丸のミスが思わぬ形で功を奏す痛快な展開のほか、TV放送の仕組みや裏方の仕事を丁寧に説明し、学びを得られるのも美点です。

　今回紹介するなかでは一番長いですが、1話40分台×5話で3時間40分ほどで観終わることができます。『チャンネルはそのまま！』は現在、NNetflixで独占配信中です。

※高石あかりさんの「高」は「はしごだか」