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最初から容赦ねーな 「第1話」がいろいろな意味で衝撃なマンガ原作ドラマ

毎年数多くのマンガが実写ドラマ化されていますが、初回から強烈な印象を残す作品はそう多くありません。インパクトのある第1話は、それだけで深く記憶に残るものです。いままで、どんな作品が視聴者に衝撃を与えてきたのでしょうか。

死刑執行から始まる社会派ドラマ

『透明なゆりかご』で主演した2018年に電子コミック配信サービス「めちゃコミック(めちゃコミ)」でインタビューを受けた際の清原果耶さん
『透明なゆりかご』で主演した2018年に電子コミック配信サービス「めちゃコミック(めちゃコミ)」でインタビューを受けた際の清原果耶さん

 タイトルのインパクトが強い作品や、放送コードを心配してしまうようなギリギリの作品など、毎年さまざまなマンガが実写ドラマ化され、話題を集めています。視聴者がそのまま物語を追い続けるかどうかは、第1話の印象にかかっているといっても過言ではありません。今回は、初回からいろいろな意味で「衝撃」だった、マンガ原作のドラマを振り返ります。

●『モリのアサガオ』

 2010年に放送されたドラマ『モリのアサガオ』は、新人刑務官と死刑囚の間に芽生える禁断の友情を描いた作品です。原作マンガは、緻密な取材に基づいて「死刑制度」の現実に迫った社会派作品として話題を呼びました。

 死刑囚舎房を舞台とする本作は、第1話から容赦なく死刑執行が行われるほか、現行制度の内実にも踏み込んでいます。死刑囚を演じるのは実力派俳優ばかりで、彼らの迫真の演技によって描かれる死刑執行の場面は、一度観たら忘れられない衝撃を残すはずです。

 なかでも「星山克博(演:大倉孝二)」と「深堀圭造(演:柄本明)」の最期は、印象的でした。星山は「ママー! ママー!」と叫び取り乱しながら、複数の刑務官に押さえつけられ、縄をかけられて刑が執行されました。感情をむき出しにする星山の哀れな姿と、無言で職務を全うする刑務官たちの対比はあまりにも残酷です。

 一方、深堀は執行時の目隠しを拒否し、紅潮した顔には恐怖と覚悟が入り混じっていました。絞首刑に苦しむ様子は、首から吊られた1本の縄の揺れで静かに表現され、その余韻が観る者の心を深く揺さぶります。

●『透明なゆりかご』

 看護師見習い「青田アオイ(演:清原果耶)」の目を通して、知られざる産婦人科の現実に迫ったNHKのドラマ『透明なゆりかご』(2018年)は、沖田×華先生の同名マンガが原作です。幸せな出産だけでなく、中絶や死産といった産婦人科の「影」の部分にも焦点が当てられた作品です。

 第1話からアオイは中絶手術に立ち会い、小さな命が絶たれた直後に出産のサポートにも駆り出されます。死と生が目まぐるしく押し寄せるなか、生まれたことが必ずしも喜ばしい結末につながらない現実も描かれていました。

 また17歳のアオイの繊細な感情描写も印象的で、放送当時16歳だった清原果耶さんの演技も見事です。双子が中絶され、その遺体が入ったふたつの小瓶を見たアオイは「よかったね。ひとりじゃなくて」とつぶやきます。大人と子供の狭間にいるアオイの視点が、物語にかすかな救いを与えていました。

●『●●ちゃん』

 2023年に放送された『●●ちゃん(まるまるちゃん)』は、性に悩める女性3人のオムニバスドラマです。原作は五百田達成先生のマンガ『セックスちゃん』で、第1話は「私はセックスが好きだ!」という大胆な告白から幕が開きます。

 第1章「セックスちゃん」の主役は、性に溺れる主人公「柏木史恵(演:増田有華)」です。相手も場所も問わず行為に及んだ過去が次々と映し出されますが、スポーツや将棋、料理に例えて描かれる独特の演出により、どちらかというとコミカルな印象が強く残ります。

 そんな史恵が出会うのが、性交渉自体を拒む男性でした。第2話では、彼の自慰を眺めながら数学の証明問題を読み上げるという、一風変わったプレイが登場します。ウサギの耳を男性器のメタファーとして用いた演出も、シュールで強い印象を残しました。

 ちなみに第2章「高学歴ちゃん」、第3章「不倫ちゃん」も、冒頭でそれぞれの赤裸々な性に関する意見が語られます。三者三様の視点が織りなす物語に引き込まれ、思わず彼女たちの行方を見届けたくなるはずです。

(ハララ書房)

【画像】え、16歳でこんな役を? こちらが清原果耶さんの初主演作になった衝撃マンガ原作ドラマです

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