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怪獣マニアへ…世界各地に潜む「強豪怪獣」4選 ゴジラ、キングコングだけじゃない!

怪獣の親子愛に思わずもらい泣き、『怪獣ゴルゴ』

『怪獣ゴルゴ』 画像はDVD(キングレコード) (C) MCMLXI King Brothers Ltd.All Rights Reserved.
『怪獣ゴルゴ』 画像はDVD(キングレコード) (C) MCMLXI King Brothers Ltd.All Rights Reserved.

 英国からのエントリーとなるのは、『怪獣ゴルゴ』(1961年)です。ユージン・ルーリー監督は、先述した『原子怪獣現わる』も手掛けています。アイルランド沖で発見・捕獲された太古の怪獣は「ゴルゴ」と名付けられ、ロンドンで見せ物となります。ところが、この「ゴルゴ」はまだ幼獣でした。はるかに巨大な親怪獣が子供を奪い返しに現れ、ロンドンは大パニックに陥ります。

 日本の伝統的な怪獣映画と同じように、特撮シーンは着ぐるみで撮影されており、親しみを感じさせます。その一方、ミニュチュアで精巧に作られたタワーブリッジやビッグベンが次々と破壊されるシーンは圧巻です。また、親怪獣が子供怪獣を連れ戻すシーンは、思わずもらい泣きしそうになります。このアイデアを拝借したのが、日活制作の『大巨獣ガッパ』(1967年)であることは、怪獣マニアの間では有名です。

独裁者を揶揄した北朝鮮映画『プルガサリ』

 2020年の米国アカデミー賞を『パラサイト 半地下の家族』(2019年)で席巻したポン・ジュノ監督の『グエムル-漢江の怪物-』(2006年)は非常によくできた怪獣映画ですが、今回は韓国のお隣・北朝鮮の怪獣映画を取り上げます。北朝鮮の金正日主席は大変な映画好きとして知られ、国家の威信を掛けて制作されたのが北朝鮮初の怪獣映画『プルガサリ~伝説の大怪獣~』(1985年)でした。

 日本から東宝の特撮スタッフやスーツアクターの薩摩剣八郎氏らを招き、『プルガサリ』は怪獣映画としては破格の大予算が投じられた作品です。物語は鉄を食べる伝説の怪獣プルガサリが、庶民を苦しめる暴君のいる王城を襲うというものです。『ゴジラ』と『大魔神』(1966年)を足して、割ったような内容です。それにしても、北朝鮮の独裁政権を揶揄したような作品がよくできたものだなと感心します。社会風刺が隠されているのも、怪獣映画の面白さでしょう。

 王城のミニチュアは精巧かつ頑丈に作られており、プルガサリの着ぐるみに入っていた薩摩氏は、ミニチュアがなかなか壊れなくて苦労したそうです。日本では1998年に劇場公開されています。

人間の潜在意識を具現化する『禁断の惑星』

 最後に紹介するのは、かなりの強豪怪獣です。SF映画の名作『禁断の惑星』(1956年)に登場する「イドの怪物」です。宇宙移民が始まった2200年代、人類は惑星第4アルテアに到着します。しかし、宇宙船のクルーたちは、目には見えない透明な怪獣「イドの怪物」に次々と殺されてしまいます。

 実はこの「イドの怪物」は、人間の潜在意識が具現化したもの。惑星第4アルテアには高度な文明を築いた先住人類がいたのですが、彼らは自分たちが生み出した「イドの怪物」によって滅ぼされてしまったのです。富野由悠季監督のSFアニメ『伝説巨神イデオン』の元ネタとも呼ばれています。人間の心の闇ほど、恐ろしいものはないのかもしれません。

 こうして怪獣映画を振り返ってみると、怪獣たちの多くは社会の歪みや人間の欲から生まれてきたことが分かります。人間の心に深い闇がある限り、これからも色々な怪獣たちが生まれてくるのではないでしょうか。

(長野辰次)

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