30年早く来て…!『スターフォース』で思い出す、eスポーツの先駆け「キャラバン」
1985年6月20日、ハドソンからファミコン版『スターフォース』が発売。攻略に連射力が必要とされるゲームで、16連射で知られる高橋名人がブームを盛り上げました。夏に開催された「キャラバン」と呼ばれる大会は、子供たちの憧れでした。
『スターフォース』の忘れられない記憶
1985年6月20日、ハドソンからファミコン版『スターフォース』が発売されました。「コロコロコミック」での特集や高橋名人の登場、夏に開催された全国キャラバンなど、家庭用ゲーム黎明期に圧倒的な熱でさまざまな取り組みが行われ、当時を知る人間にとっては忘れられない思い出のタイトルとなっています。幼い頃『スターフォース』を買ってもらえずキャラバンには参加できなかった記憶を持つライターの早川清一朗さんが、思い出を語ります。
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『スターフォース』・高橋名人・キャラバン。
この3つの単語のどれかを聞くと、さまざまな記憶が連鎖的によみがえります。高橋名人に憧れた記憶。16連射に挑戦して叶わなかった記憶。『スターフォース』を買ってもらえなかった記憶。キャラバンの光景をTVで見ていた記憶。友達の家で初めて『スターフォース』を遊んだ時の記憶。 そして何年も経ってから『スターフォース』をついに手に入れたときの記憶。
つい先日も新型コロナウイルス感染症の影響でずっと閉店していたゲームセンターが再開したときに、アーケード版があるのを見つけてプレイしてしまうほど、心のなかの大事な部分に『スターフォース』というタイトルは鎮座しています。きっと、ずっと忘れることはないのでしょう。
最初に筆者が『スターフォース』の存在を知ったのは、小学生の頃でした。当時愛読していた「コロコロコミック」ではしばしばファミコンソフトの特集が行われていたのですが、ある号で、大々的に特集されたのです。最初、特集に登場していたゲームのうまい高橋さんは、いつからか秒間16連射を引っさげて「高橋名人」となり、たちまち筆者をはじめとする子供たちのヒーローになりました。
あさいもとゆき先生のマンガ『ファミコンロッキー』にも『スターフォース』は登場し、謎の999万点ボーナスが話題となりましたが、これは後に架空の裏技だったことが語られています。しかし当時の子供たちにとって、「コロコロコミック」や『ファミコンロッキー』は貴重な情報源でもあったため、後々まで999万点ボーナスの存在を信じていた人も多かったようです。
『スパルタンX』の「シルビアがラスボス説」に実際に挑戦したことがある筆者にとっては、信じていた子供たちのことをとても笑う気にはなりません。ネットがない時代は、本当に情報を入手するのが大変だったのです。