『ファイプロG』発売から21年。プロレス愛あふれるストーリーモードを体感せよ!
プロレス界混沌の時代に発売、マニア納得の胸熱展開

また、「OLIVE JAPAN」編で「R・Y・U」に移籍した際、社長のグレート司馬から「二度とウチのリングには上げない」と冷たく言い放たれるあたりは「SWS」を、「新生IW』で一度引退した「沖田勝志』のユニット「JEN」に参加し、「VIEW JAPAN』のリングに乱入、「ハリケーン力丸」への対戦要求など、「あー、そういえば当時のプロレスってこんなコトあったなぁ」などと、感慨にも似た想いがアタマをよぎったりします。
アメリカ編での「赤FWO」と「白FWO」の抗争や「UWH」編での「GONGS」と「Uインテル」、「梶原組」の三派への分裂と、その後の「キャッスル」や「ハイクラス」、「格闘探偵団バトレーション」への細分化。パッケージに象徴されるようなプロレス界の宿敵、「ニクソン・ステイシー」との一戦など、懐かしい展開も待ち受けています。
とはいえ、この『ファイプロG』。「ファイティングロード」の途中で選択する台詞だけでなく、試合展開などもストーリーに反映されるようで、同じ技ばかりを使った「塩試合」や、往年のカール・ゴッチの如く「秒殺試合」を繰り返していると、たとえ全試合・全勝でストーリーを終えたとしても最終的にはヒザや腰を壊したりしてヒッソリと引退。バッド・エンディングになってしまいます。
このあたりは、若元道場で一徹先生から告げられる「レスラーの闘いの場は『観客に囲まれた』リングの上だということを決して忘れるな!」という教えのとおり。試合で何回か負けたとしても観客を沸かせた場合はバッドエンディングにならない……といった部分も、ゲーム製作者のプロレス愛を感じさせるものです。この点は救いのない終わり方をする『ファイヤープロレスリングSPECIAL』の「チャンピオンロード」とは大きく異なる部分でしょう。
全コースをクリアするのは簡単ではない『ファイプロG』ですが、現在もなお、間違いなくプロレス好きにオススメできるゲームです。
(渡辺まこと)