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『異世界ブラック・ジャック』史上初、桃の帝王切開!? ツッコミどころ満載の世界観

手塚治虫先生の生誕90周年を記念して、日本や欧米の人気作家が名作のトリビュートマンガを描く『テヅコミ』。作品のひとつである『異世界ブラック・ジャック』(著:時丸佳久先生)が、2020年6月16日(火)に発売されました。

ツッコミどころ満載の世界観に、原作往年の名シーンのコラボ

『異世界ブラック・ジャック』(マイクロマガジン社)
『異世界ブラック・ジャック』(マイクロマガジン社)

 2020年6月16日(火)、時丸佳久先生によるマンガ『異世界ブラック・ジャック』が発売されました。手塚治虫先生の生誕90周年を記念して、日本や欧米の人気作家が名作のトリビュートマンガを描く『テヅコミ』作品のひとつです。

 手塚治虫先生が生み出した、不朽の名作『ブラック・ジャック』。医師免許を持たない、もぐりの医者にもかかわらず、神の手で多くの患者を救う男。法外な治療費を要求し、時に悪魔のように、時に天使のように人を助ける男。名医ブラック・ジャックは多くの手術と冒険に身を投じてきましたが、今作で彼が迷い込んだのは、まさかのおとぎ話の世界でした。

 飲まず食わずで放浪した先に出会ったのは、川に流される桃と、それを拾おうとする女性。桃が捕まらないよう暴れまわっていることだけ除けば、私たちの多くが聞いたことのある光景です。飢えをしのぐために桃の「捕獲」に協力したブラック・ジャックですが、桃を切ろうとした瞬間、なかから助けを求める小さな声が。

 まさに童話・桃太郎のストーリーを追体験しつつ、彼は桃をメスで切開し、赤ん坊を取り上げます。本人はいたって真面目ですが、実際の絵面は底抜けにシュール。『異世界ブラック・ジャック』は、ベースとなっているストーリーは皆さんもよく知る童話なのに、「そうはならんやろ!」というコミカルな展開ばかりが続きます。

 ブラック・ジャックの神の手も、今作ではシリアス風味が薄めな感じ。冒頭の桃の帝王切開にはじまり、おむすびを追って落ちてしまった穴にひそむ宇宙人を助けたり、湖に落とした斧で脳天がかち割れてしまった湖の精を救ったり。はちゃめちゃな世界観で繰り広げられるブラック・ジャックの冒険。ただよくよく考えると、彼は原作でも亡霊や超能力者を助けています。非日常的な物語は、ブラック・ジャックにはむしろお似合いなのかもしれません(笑)。

 原作『ブラック・ジャック』を知っている人には、おなじみの名シーンが散りばめられているのも、『異世界ブラック・ジャック』の面白いところ。一話にほぼひとつ以上、原作ゆかりの人物や名ゼリフが登場します。ボンカレーはどう食べてもおいしいし、意識がもうろうとしているときはからいものをめいっぱい食べるのが一番です。「原作屈指の名セリフをここで使うの!?」という不思議なサプライズ(?)もあるので、ぜひ探してみてください。

 異世界転生といえば、主人公が成り上がり、敵を相手に無双していくのが定番です。コミカルでちょっとだけかっこいいブラック・ジャックの、おとぎ話での無双劇を一緒に楽しみましょう。

(サトートモロー)

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