【漫画】もう二度と話せない、父への思い 過去に戻り、「自分」に伝えたことは?
父が亡くなり、葬儀の準備中、父との思い出をふり返る主人公の男性。「まだ父に何のお礼も恩返しもしていない」と自分を責める主人公は、気が付くと過去の自分と会っていました……。父の日にTwitterで公開されたマンガが反響を呼んでいます。
不器用な父との幼少期の思い出
父が亡くなり、葬儀の準備中、主人公の男性は父との思い出をふり返っていました。不器用で物を買うことでしか子供に愛情表現ができなかった父。「まだ父に何のお礼も恩返しもしていない」と自分を責める主人公は、気が付くと過去の自分と会っていました……。
2020年6月21日の「父の日」に、うえはらけいたさん(@ueharakeita)による『父の日のマンガ』がTwitterで公開されました。自身の幼少期の父との思い出をベースにして描いたという創作マンガ。「親との限られた時間を大切にしないといけないのに、できていない自分への焦燥感」を伝えたかったという作品に、読者からは「心にしみた」「父に連絡します」などの声があがりました。
作者のうえはらけいたさんに、お話を聞きました。
ーーうえはらけいたさんがマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。
元々広告代理店でコピーライターをしていたのですが、広告の仕事は基本的に「誰かの想い」を人に届けるものなので、いつの間にか「自分の想い」もちゃんと届けられるようになりたい、と思ったのがきっかけです。
漫画家は小学校の頃の夢だったんですが、ずっと心のどこかに「まだ諦めてないぞ」っていう悪あがきみたいものが残ってたんですね。で、20代の終わりに「そろそろあの頃の自分に顔向けできるようにならないとな」と思って腹をくくりました。
ーー『父の日のマンガ』のエピソードは、うえはらけいたさんの実話でしょうか? このエピソードをマンガで公開しようと思ったきっかけはありましたか?
実話なんだか何なんだかわかりにくい内容ですみません……(笑)。幼少期の父とのエピソードは全て実話です。ただ、未来の自分が夢で語りかけてきた、というのは脚色したエピソードです。
村上春樹さんの『猫を棄てる』という本を読んで、「自分は父が健在なのに、何もしなくて良いのだろうか……」という焦燥感を感じ、その気持ちをみんなにも知ってほしいと思ったのが、あのマンガを描いたきっかけです。その辺りの思いはマンガと一緒にnoteにも書かせていただいたので良かったら読んでください。
ーー作品に対する反応で、特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。
「このマンガを読んで、父に連絡したら喜んでくれました」といった方が何人かいたのが一番うれしかったです。誰かの人生を0.1mmくらいですけど、変えられたという実感を持つことができたので。
ーーTwitterでは創作マンガ『コロナ収束したら付き合うふたり』を連載中で、1日1話公開なさっています。この作品のあらすじや、連載しようと思ったきっかけなどを教えて下さい。
ちょうど外出自粛期間が始まった頃って、Twitter上がこの上ないくらいに荒れていたように感じたんですね。もういろんな人のストレスと不満が煮詰まってドロドロになっているような……。「この雰囲気を少しでも変えて、みんなでコロナ収束を待ち遠しく思えるような作品を作れないかな?」と思ったのが、この作品を描き始めたきっかけです。
内容は、いつもボーっとしている「おさむ君」と、気の強い「つかさちゃん」という幼なじみのふたりが、少しずつ大人になり付き合うまでを、毎日少しずつ4コマで描いているものです。まぁコロナはもう収束ぎみですが、この物語は出会って10000日目で終えるつもりなので良かったら読んでみてください。Twitterに第1話からまとめています。
ーー今後、Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?
僕は子供の頃、物語のあるテレビCMが大好きで、CMだけをビデオにとったりしてたんですけど(おかしな子供ですよね)、そういう「30秒くらいの短さなんだけど誰かの心には半永久的に残り続けるもの」をTwitter上で今後作れるように頑張りたいと思っています。良かったら、たまにのぞきに来てください!
(マグミクス編集部)