愛すべきクソゲー『燃えろ!!プロ野球』 バグ続出も売れすぎてしまった伝説のソフト
1987年6月26日、ジャレコからファミコン用ソフト『燃えろ!!プロ野球』が発売されました。12球団ほぼ全ての選手が実名で登場し、プレイ画面はTV中継のよう。リアル志向の野球ゲームに子供たちは飛びつきましたが、思わぬワナが待っていました。
リアル志向の野球ゲーム
1987年6月26日は、ジャレコからファミコン版『燃えろ!!プロ野球』が発売された日です。それまでファミコンで人気のあった野球ゲーム『ベースボール』や『ファミリースタジアム』とは異なり、TV中継風のプレイ画面と合成音声、12球団の選手がほぼ実名で登場するという当時としては豪華な仕様で注目を浴びました。しかしバントでホームランが打てるという仕様上の問題や、バグの多さなどから物議をかもしたタイトルでもあります。プレイ当時の思い出を、ライターの早川清一朗さんが語ります。
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筆者がまだ小さかった頃、公園や空き地でよく野球をしていました。今ほど娯楽が多くはなかった時代、プラスチックのバット1本とカラーボールがひとつあれば、10人以上の友達が一緒に遊べたのです。シーズン中の夕方にはTVで毎日のようにプロ野球が中継されており、アニメの放送を飛ばされてガックリしたこともしょっちゅうでした。
今はどの公園も野球を始めとした球技は禁止になり、地上波で野球が放送されることもめっきり少なくなりました。子供たちがバットとボールを持っている姿など、まったく見かけなくなりました。筆者は今でも野球が大好きですが、今の子供たちは野球を好きになる機会はあるのだろうかと、少し心配になっています。
さてそれはさておき、ファミコンでは多くの野球ゲームが発売されましたが、そのなかでもひときわ物議をかもしたのが『燃えろ!!プロ野球』(以下、燃えプロ)です。『ベースボール』『ファミリースタジアム』といった傑作野球ゲームの後を継いで登場したこのゲームは、今までに発売されたゲームとは明らかに違っていました。
まず登場する野球チームがNPB全12球団そろっていること。選手がほぼ実名であること。そしてまるでTV中継のような画面でゲームをプレイできるということ。これらの要素は当時の少年たちにとって、感情移入するための恰好の材料となっていたのです。
ただ、選手の実名は許可を取っていなかったそうで、後に抗議を受けたそうですが、それでも発売中止にならなかったのは、当時の日本の空気がおおらかだったためでしょうか。