『あんぱん』明日64話では健太郎がいきなり柳井家に やなせたかしにも運命を変えてくれた戦友がいた?
朝ドラ『あんぱん』64話では、嵩の親友、健太郎が高知にやってくるようです。いったい彼は何をしに来たのでしょうか。
廃品回収の仕事がいいきっかけに

2025年前期のNHK朝の連続テレビ小説『あんぱん』の、明日6月26日放送の第64話では、「柳井嵩(演:北村匠海)」の学生時代からの友人で、戦時中同じ小倉連隊に所属していた「辛島健太郎(演:高橋文哉)」が、高知の柳井家を訪ねてくることが予告されています。彼はいったい、何をしにきたのでしょうか。
実は嵩のモデルで『アンパンマン』の作者、やなせたかしさんにも、中国から復員して故郷に帰ったばかりの頃、訪ねてきてくれた「戦友」がいました。そして、彼の訪問が軍隊で5年もすごしたやなせさんを、クリエイターの道に戻すきっかけを作ります。
日本に帰ってきたばかりだった1946年当時、27歳だったやなせさんはこれから何をするべきか途方に暮れていたそうです。軍隊で鍛え抜かれたため、身体を動かすことには自信があったものの、思考力が低下して命令されなければ動けない状態だったといいます。
そこにやってきたのが、同じ「柳瀬」という苗字で、隊は違うものの一緒に暗号班で働いていた同郷の戦友でした。彼はやなせさんに、「屑(くず)屋」を手伝うように言います。それは彼の叔父が経営している、進駐軍から廃品を回収し別の製品にして売る会社でした。ビンを水筒にしたり、金属類を鍋や釜にしたりしていたそうです。
その仕事をしているうちに、やなせさんはアメリカ兵の捨てた本をゴミの山から拾って持って帰るようになります。それらの本は、印刷も紙も当時の日本では考えられないような立派なもので、そこに描かれたおしゃれな挿絵やマンガ、広告などを見るうちに、やなせさんは肉体労働ではなく、また絵やデザインの仕事をやりたくなったといいます。
そして、やなせさんは当時募集していた高知新聞社の記者職に応募して合格、1946年5月末に入社しました。さらに、入社1か月ほどで「月刊高知」という雑誌の立ち上げにかかわる編集者に配置転換され、戦前デザイナーとして働いていたときのように絵の仕事もするようになります。そして、その編集部でのちの妻となる小松暢さんと、運命的な出会いを果たしました。
64話では主人公「のぶ(演:今田美桜)」が、亡き夫「若松次郎(演:中島歩)」の残した「速記」の意味を知り、速記の猛勉強を始めると発表されています。史実では暢さんはやなせさんより3か月早く高知新聞に入っており、おそらく『あんぱん』でものぶが速記のスキルを活かして、先に高知新聞(劇中では「高知新報」という名前)に入るのでしょう。
まだこれから何をすべきか分かっていない嵩は、どうやって絵の道に戻るのか、もしかすると前述の「もうひとりの柳瀬さん」のように、健太郎が重要な役割を果たすのかもしれません。
参考書籍:『アンパンマンの遺書』(岩波書店 著:やなせたかし)、『やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく』(文藝春秋 著:梯久美子)、ムック『やなせたかし はじまりの物語: 最愛の妻 暢さんとの歩み』(高知新聞社編集)
(マグミクス編集部)
