『あんぱん』ツダケン演じる東海林のモデルはかなりの「文武両道」 今のところ「明確に違う」点は
朝ドラ『あんぱん』では、のぶが東海林明という人物から、高知新報の採用試験を受けるよう勧められました。津田健次郎さん演じる彼には、モデルがいるようです。
やなせたかしさんのよき理解者でもあった

2025年前期のNHK朝の連続テレビ小説『あんぱん』第64話では、速記の猛勉強をした主人公「若松のぶ(今田美桜)」が、闇市で高知新報の編集局主任「東海林明(演:津田健次郎)」と出会いました。彼はのぶが速記ができることを知り、高知新報の採用試験に来るよう勧めます。
『あんぱん』ではのぶのほか、「柳井嵩(演:北村匠海)」も高知新報に入社することが発表されています。ふたりのモデルである『アンパンマン』の作者、やなせたかしさんと妻の小松暢さんは高知新聞の同僚(暢さんの方が3か月先輩)として出会いました。ふたりは「月刊高知」という雑誌の編集者として働いており、彼らには頼れる編集長がいたのです。
その編集長の名は青山茂さんといい、彼が東海林のモデルと思われます。1908年生まれの青山さんは、やなせさんが入社した当時38歳、高知新聞の編集局次長でした。彼はやなせさんが卒業した高知県の城東中学の先輩で、早稲田大学に入学後、水泳選手として当時の800m自由形の日本記録を作ります。さらに日米対抗試合で、オリンピック金メダリストにして、後に「ターザン」役の俳優(1932年『類猿人ターザン』以降12作で主演)として名をはせるジョニー・ワイズミュラーさんと一緒に泳いだこともあるという、文武両道に優れた人物です。
青山さんは、漫画家の横山隆一さん(「フクちゃん」シリーズの作者)や、直木賞作家の田岡典夫さん(『野中兼山』『強情いちご』など)と同郷の親友として交友があり、さらに高知にやってくるさまざまな文化人の世話もして、井伏鱒二さんの紀行文『取材旅行』にも名前が出ています。
まだ出てきたばかりの東海林が、どれくらい青山さんの人物像をなぞっているのかは不明ですが、現状ひとつ明確に違う点がありました。初登場時に部下の「岩清水信司(演:倉悠貴)」と飲んだくれていた東海林と違い、青山さんは宴席での付き合いはしても、酒は全く飲まなかったそうです。65話のあらすじでは、東海林はのぶに採用試験を受けるよう言ったことをすっかり忘れていると発表されていますが、どうなってしまうのでしょうか。
青山さんの下で、やなせさんは初のマンガ連載をしたり、戦前に幸徳秋水ら高知出身の社会主義者が殺された「大逆事件」の生存者を対談させる特集をしたり、編集部全員で行った東京への取材旅行で腐ったおでんを食べて食中毒になったりと、さまざまな体験をしました。退社後のやなせさんが、高知新聞に『マックロちゃん』というマンガを連載した際も、青山さんと手紙のやり取りをしていたそうです。
どこまで実際の出来事通りになるかは分かりませんが、津田さん演じる東海林も、嵩やのぶの理解者として長く登場し続けるかもしれません。
参考書籍:『アンパンマンの遺書』(岩波書店 著:やなせたかし)、『やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく』(文藝春秋 著:梯久美子)、ムック『やなせたかし はじまりの物語: 最愛の妻 暢さんとの歩み』(高知新聞社編集)
(マグミクス編集部)
