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レオタードから衣装変更された実写版『キャッツ・アイ』 麗しの来生三姉妹に射抜かれた記憶

マンガ原作の実写化が映画界の定番となりつつある昨今。実はこうした流れは今に始まったことではなく、1990年代にも数々の人気マンガが実写化されてきました。北条司先生の大人気マンガ『キャッツ・アイ』もそのひとつで、主役の「来生三姉妹」には豪華なキャスト陣が名を連ねています。

「泪」役の俳優が約四半世紀後に「瞳」を熱演

ガチすぎるキャスティングで知られる実写映画『CAT'S EYE』 画像は、海外版DVDのパッケージ(キングレコード) (C)1997 フジテレビジョン/バーニングプロダクション
ガチすぎるキャスティングで知られる実写映画『CAT'S EYE』 画像は、海外版DVDのパッケージ(キングレコード) (C)1997 フジテレビジョン/バーニングプロダクション

 2025年9月に完全新作アニメの配信を控える『キャッツ・アイ』は、これまでアニメや舞台など、さまざまなメディアミックス展開を重ねてきました。実は過去に国内で「実写映画化」されていたことを覚えていますか? 藤原紀香さん、稲森いずみさん、内田有紀さんが来生三姉妹を演じたこの作品は、『CAT’S EYE』のタイトルで1997年に公開されました。

 ただ、当時は現在のように原作に忠実な映像化が一般的ではなく、本作もまたオリジナル要素の強い内容に仕上がっています。今改めて見返すと、その違いに驚かされるかもしれません。

 原作のマンガ『キャッツ・アイ』(作:北条司)は、喫茶店を営む昼の顔と、怪盗として活動する夜の顔を持つ来生三姉妹の活躍を描いた作品です。彼女たちは、行方不明となった父の消息を探るため、手がかりとなる美術品を狙って行動しています。

 なかでも次女の「来生瞳」が物語の中心人物として描かれており、彼女と交際中の刑事「内海俊夫」との恋の行方も大きな見どころのひとつです。怪盗と刑事という対立する立場にありながら、内海が瞳の正体に気付かないまま恋人関係を続けているというスリリングな構図が、物語全体に緊張感をもたらしていました。

 対して実写映画版では、長女「泪」を藤原紀香さん、次女「瞳」を稲森いずみさん、そして三女「愛」を内田有紀さんが演じています。ただし原作とは異なり、物語の中心を担うのは瞳ではなく、三女の愛です。さらに原作で高校生だった愛は、大学生という設定に変更されており、劇中では留学生の「李(演:ケイン・コスギ)」との交流を通じて、映画オリジナルの人間関係が描かれています。

 李は敵対組織に属する殺し屋で、立場上は愛の敵にあたりますが、一方で彼女に特別な感情を抱いており、その思いが敵対関係に微妙な揺らぎをもたらします。もちろん原作通り、瞳と内海刑事のラブストーリーも描かれているものの、それに並行して展開される愛と李のドラマが、映画独自のスパイスとして新たな魅力を添えていました。

 さらに注目すべきは、キャッツ・アイのビジュアル面に加えられた大胆なアレンジです。原作では、レオタード姿だった三姉妹が、実写映画では黒のキャットスーツに猫耳付きのマスクというスタイルに変更されています。まるで「バットマン」シリーズの「キャットウーマン」を思わせるルックスで、当時の観客にも強いインパクトを残したはずです。

 なお大胆なアレンジが加えられたのは、実写映画だけではありません。実はさらにさかのぼること1988年には、『キャッツ・アイ ミッドナイトは恋のアバンチュール』のタイトルで特別ドラマが放送されました。当時のバブル文化を反映したのか、怪盗コスチュームはボディコン風の衣装にアレンジされており、人間関係などについても原作にはない設定が追加されています。

 また2024年に上演された舞台『メイジ・ザ・キャッツアイ』では、時代設定を明治に変え、衣装も和装をベースにした独自のスタイルが取り入れられました。実写映画で長女「泪」を演じた藤原紀香さんが、今作では次女の「瞳」役を務めたことでも注目を集め、泪役に高島礼子さん、愛役に剛力彩芽さんが名を連ねたことも話題となりました。

 完全新作アニメは「Disney+」で配信予定です。メディアごとに異なる表現で何度も姿を変えてきた『キャッツ・アイ』が、今度はどのような形でよみがえるのか、その仕上がりに期待が高まります。

(ハララ書房)

【画像】約30年経過も「色気増してない?」 こちらが来生三姉妹を演じた女優の最新の姿です(4枚)

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ハララ書房

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