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【漫画】「ここで待っててね」とごみ捨て場に置かれ… 待ち続ける人形の姿が切ない

「帰ってくるから、ここで待っててね」と女の子に言われて、ごみ捨て場に置かれたライオンの人形。その日から人形は、同じ場所でずっと女の子を待ち続けました。ハヌルさん(@neulbaram)による創作マンガ『捨て人形』が読者の涙を誘っています。

捨てられた人形の持ち主への思いを描く

「待っててね」とごみ捨て場に置かれたライオンの人形(ハヌルさん提供)
「待っててね」とごみ捨て場に置かれたライオンの人形(ハヌルさん提供)

「帰ってくるから、ここで待っててね」と女の子に言われて、ごみ捨て場に置かれたライオンの人形。その日から人形は、同じ場所でずっと女の子を待っていました。ある日、ごみを処理している男性が人形を燃やそうとします。そこに男の子が現れて……。
 
 ハヌルさん(@neulbaram)による創作マンガ『捨て人形』がTwitterで公開されました。捨てられた人形の気持ちを描いた切ない物語に、読者から「泣いた」「うちにある人形を大切にします」などの声が多くあがりました。
 
 作者のハヌルさんに、お話を聞きました。

ーーハヌルさんの漫画家としてのデビューのきっかけを教えて下さい。

 絵とマンガの勉強は続けてきましたが、本格的にマンガを描くことは一度も考えたことがなかったので、たまに描く絵をSNSに載せる程度でした。

 ある日、あるイラストをきっかけに、KADOKAWAさんから「マンガを描いてみないか」との提案を受け、当時描こうとしていたテーマをイラストからマンガに変更し、初めて自分のマンガを掲示することになりました。『君自体が100点だ』という4枚の短いマンガだったんですが、思ったより多くの方々が見て感想を残してくれて、わくわくした記憶があります。

 私が思ったことをたくさんの方々が読んでくれるのがとてもうれしくて、その後も短いマンガをSNSに載せながら、マンガを提案してくださったKADOKAWAで短編集を制作することになり、デビューにつながりました。

ーー『捨て人形』のお話はどのようにして生まれましたか?

『捨て人形』は捨て犬たちのエピソードを見て思ったことがベースになっています。捨てる人々はいつも「ここで待っていなさい」と言って捨てていき、子犬たちは10年以上その場で待っていて死んでしまう、といった多くの事例を見て胸が痛かったです。これを人形に例えて人々に伝えたい、という思いから、捨てられた犬→捨てられた人形というタイトルを持つマンガが誕生しました。

 余談として、このマンガは私が昔描いた『友達ごっこ』という短編マンガの過去を扱っていますが、『友達ごっこ』を読んだ私の友達が、マンガに登場するライオン人形の過去話が見たいと言ってくれたので描きました。友達が今度はライオンで人形を作ってくれとせがんでいます。

ーーたくさんの感想が寄せられています。特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。

 まず、たくさんの感想のなかで一番驚いたのは、今回のマンガに出てくるライオン人形とフユキというキャラクター(男の子)を知っている方々がいたということです。まだ中編、長編のマンガを連載したことがなく、短編だけ描いている私のマンガを全部は覚えられないだろうから、以前描いたマンガを覚えていらっしゃる方はいないと思っていましたが、以前私が作ったキャラクターを覚えてくださっていて、とてもうれしかったです。
 
 また、自分の大切な人形に関する話を書いてくださったり、写真を送ってくださったりする方もいて、読者の方々の大切な話に接することができて楽しかったです。

燃やされようとする人形を男の子が助けに来て…(ハヌルさん提供)
燃やされようとする人形を男の子が助けに来て…(ハヌルさん提供)

ーー普段水彩画を描かれていることもあると思いますが、他の作品も含めて、ハヌルさんの作品はイラストの色の付け方や陰影があたたかく、表情や風景の描写が丁寧で、作品全体の雰囲気に惹き込まれます。マンガを描く時に工夫なさっていることや心がけていることなどはありますか?

 現在はクオリティの高いデジタル作業が多い時代ですが、私がアナログの水彩画でマンガを描くのは、それが私の個性だと思うからです。作品を作り続けていき、いつかは、この方式を変えなければならない日が来るかも知れませんが、続けられるまでは固守していきたいと思います。

 マンガを描く時に常に心がけているのは「読みやすさ」です。私が熱心に表現した作品が読者の方々にうまく伝わらないのは、あまりにも惜しいからです。最近は、より人々の心に触れるような演出と背景を念頭に置いたストーリーアイデアについて研究中です。

ーー今後、Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?

 引き続き前の作品よりもっと良い作品をお見せできるように準備します。単発的ではなく、人々の記憶に残る活動をしたいです。それはマンガでもイラストでも映像でもです。そして普段尊敬する方々と面白いことを一緒にできるように努力します。SNSでもSNS外でも、立派な作家として成長していきたいと思います。

(マグミクス編集部)

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