ラジカセでTVの音声を録音した『クリィミーマミ』 忘れられない3つの名曲
1983年7月1日、TVアニメ『魔法の天使クリィミーマミ』が放送開始されました。10歳の少女・森沢優が変身して「クリィミーマミ」として芸能界へ。魔法の使い方として、新たな世界を切り開いた作品とも言えます。
スタジオぴえろ初の魔法少女シリーズ

1983年7月1日はTVアニメ『魔法の天使 クリィミーマミ』(以下、クリィミーマミ)の放送が開始された日です。魔法少女が芸能界入りし人気アイドルの道を歩むという、新たなジャンルを開拓した作品として高い人気を誇ります。令和に入りスピンオフコミックや3DCG動画など、新たな展開を見せる『クリィミーマミ』を小学校時代から見ているライターの早川清一朗さんが、当時の記憶を語ります。
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子供の頃の筆者は放課後になると外で遊び、18時には家に帰って晩ご飯を食べながら、TVを見る生活を送っていました。
そんなある日、ふんわりした紫色の髪の毛の、綺麗なお姉さんが登場する番組が始まりました。それが『クリィミーマミ』でした。筆者には姉がおり、しばしば激しいチャンネル争いを繰り広げていましたがこのときは敗北してしまい、女の子向けアニメである『クリィミーマミ』を見ることになってしまったのですが……。
筆者が『クリィミーマミ』をラジカセで録音するようになるまで、そう長い時間は必要ありませんでした。要はドはまりしたのです。
当時の事情を知らない方のために補足しておきますが、1983年ごろはまだ家庭用録画機材の普及がそれほど進んでおらず、代わりにカセットテープへ音声だけを録音することも多かったのです。テレビ局にも映像が残っていない古い時代の作品が、視聴者が録音していた音声だけ発見されることも多く、押し入れに放置されていたカセットテープが思いがけない形で歴史的価値を持つ事例もしばしば発生しています。
それはさておき、筆者が『クリィミーマミ』にはまったのは、マミの美しさが一番の理由でした。人気アイドルでありながら中身は10歳の少女である森沢優なので、綺麗な年上のお姉さんが子供っぽい立ち居振る舞いをしてしまうギャップも面白く、毎週楽しんでいた記憶があります。また、この作品の特徴としては魔法がアイドルとして活動するための道具として活用されている点です。従来の魔法少女ものは、事件が起こったら魔法を使うパターンが多く、魔法はマイナスをプラスマイナスゼロに持っていくための解決手段としての要素が強いものでした。その点、『クリィミーマミ』の魔法は日常から芸能界へ移行するためのパスポートとしての性格が強く、魔法の使い方として、新たな世界を切り開いた作品とも言えるのではないかと考えています。