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『ガンダム』真面目にゆえに“壊れた主人公” 「ハサウェイ」の狂気は現代人にとって他人事ではない?

戦争によって心を破壊された青年が、今度は自ら新たな戦場を生み出していく……。『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の主人公ハサウェイの狂気は、理想と現実の狭間で苦悩する現代人に通じるものがあるかもしれません。

戦争が生んだ壊れた救世主

富野由悠季氏による小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』上巻(KADOKAWA)
富野由悠季氏による小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』上巻(KADOKAWA)

 マグミクスが配信した「『ガンダム 閃光のハサウェイ』が描く『戦争は人を壊す』という残酷な真実」という記事に、多くの反響が寄せられています。読者からは主人公「ハサウェイ・ノア」の「壊れ方」に対する深い共感の声が上がり、現代社会との共通点を指摘する意見も目立ちました。

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 元となる記事では、続編『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』の今冬公開を受けて、なぜ主人公ハサウェイが「壊れた人間」として描かれるのかを考察しました。

 記事では村瀬修功監督がハサウェイを、自分ではまともだと思っているけれど、実際には壊れている人間だと説明していることを紹介。その背景として、『逆襲のシャア』で少年時代に体験した戦場での出来事、特に初恋相手クェス・パラヤの死を目撃したトラウマをあげました。

 原作小説では、クェスのことを夢で見てうなされるシーンやうつ病が続いていたという描写もあり、この体験が彼の人生を決定づけてしまったことが説明されています。

 さらに、反政府組織マフティーを率いるハサウェイが、腐敗した地球連邦政府の高官を粛清するという極端な手段に出る一方で、自らの信念のために民間人の犠牲も厭わない矛盾した行動を取っていることを指摘しました。特に印象的だったのは、原作小説に登場するタクシー運転手との会話で、「千年先の地球のこと」を考えるハサウェイに対し、運転手が「暇なんだね?暮しって、そんな先、考えている暇はないやね」と返すシーンです。この普通の人々の感覚との乖離こそが、ハサウェイの「壊れている」状態を象徴していると分析しました。

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 この記事に対し、読者からは現代社会との類似性を指摘する声が相次ぎました。「現実の社会も多くの歪みや腐敗、矛盾や葛藤を内包していて表面上は笑いながら多くの人々は苦しみながら日々を過ごしている」との指摘があり、ハサウェイの置かれた状況が決して架空の世界の出来事ではないという共感が示されています。

 また元記事でも紹介した、一般市民が「千年先のことを考える暇はない」と語るシーンについても、日々の生活に追われる現代人の感覚との対比として受け止められているようです。

 ハサウェイの「壊れ方」の特徴についても、読者から詳細な分析が寄せられています。「静かに壊れてるという感じがした」「子供の頃のハサウェイはもっと感性が豊かだったと思う」との指摘もあり、戦場体験が人格に与える深刻な影響への理解が示されています。

 さらに「真面目というのは、その通りなんだろうな」として、シャアとの共通点も指摘されました。「現実世界の問題を一挙に解決しようとして、とんでもなく極端な解を導き出してしまう」という分析では、理想主義者が陥りがちな思考パターンの危険性が論じられています。「それがどれだけ極端な方法であっても、極端とは認識出来ないんだろうね」と心理メカニズムの考察も見られました。

 読者の反応からは、『閃光のハサウェイ』が単なるロボットアニメの枠を超えて、現代社会を生きる人々の心の問題を描いた作品とも受け止められることがうかがえます。真面目に世界のことを考えれば考えるほど、普通の人との感覚にずれが生じ、結果として孤立していく青年の姿は、現代人にとって他人事ではないのかもしれません。

(マグミクス編集部)

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