【漫画】「アジアの女は…」海外で受けた人種差別 叔母の毅然とした対応で気付くこと
イラストレーターの尾添さんが叔父の葬儀のため南欧に行った時のこと。南欧在住の叔母とカフェにいると、白人男性ふたりから差別発言を受けました。言葉が分かった叔母は男性たちに対して……。その行動と、「差別の根本にあるもの」について語る叔母の言葉に考えさせられます。
叔母が語る、「差別の根本にあるもの」

イラストレーターの尾添さん(@ozoekkk)が叔父の葬儀のため南欧に行った時のこと。南欧在住の叔母とカフェでコーヒーを飲んでいると、近くの白人男性ふたりが尾添さんたちを見て大きな声で話し始めました。それは東洋人に対する差別発言。言葉が分からないと思って発言している男性たちですが、叔母にはその内容は筒抜けで……。
尾添さんがこの時のことをマンガに描き、『叔母と私と、人種差別の話』としてTwitterで公開すると、同じように海外で差別を受けた経験のある読者からの体験談や、毅然とした態度をとった叔母に対して「かっこいい」などの声が続出しました。
作品について、作者の尾添さんにお話を聞きました。
ーー『叔母と私と、人種差別の話』のエピソードをマンガで公開しようと思ったきっかけはありましたか?
世界的な情勢を見ても、今年は旅行を控えないといけないと思って、テレビ通話アプリで叔母と話していた時に、会話の流れでカフェでの出来事の話をして……。叔母はよくあることだからって笑ってたんですけど、マンガにしていい? って聞いたら「いいよー」って返ってきたからです。
ーー南欧のカフェで差別発言を受けた時の叔母様の対応が、とても強くたくましいです。南欧で30年以上暮らしていらっしゃるとのことですが、叔母様の強さは、元々というよりは、異国での生活のなかで徐々に培われたものなのでしょうか?
元々イエスノーをはっきり言う人でした。結婚を機に移住してから、それに拍車がかかったらしいです。「残念だけど、どこにでもあること」を黙って耐えるのは良くない、我慢からは憎しみしか生まれない。かといって争うのもよくない。「反論すること」が大事になる。叔母はそう言っていました。

ーー「差別の根本にあるのは孤独と未知の恐怖」という叔母様の言葉には重みがあり、自分の身近なところでも起こりうることだと考えさせられます。尾添さんはこのカフェでの経験の後、考え方や行動などに変化はありましたか?
過度に委縮したり、相手に対して控えすぎることはなくなりました。相手に気持ちを伝えることは大事。嫌だからといって忘れたりなかったこと扱いにしないで向き合う。目の前に国籍が違う人が現れても、まず話してみる。などです。
ーーたくさんの感想が寄せられています。特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。
「自分も海外で同じようなことがあった」という意見が多かったことが一番印象に残っています。何か言われている時は「言葉は分からないだろう」って思われてるのがヒシヒシと伝わるんですけど、似たような出来事は今でもあるんだな……と。
ーー今後の活動で挑戦してみたいことがあれば教えて下さい。
オリジナルのマンガやイラスト、エッセイマンガなど、自分にしか描けないものを描いて世に出していきたいです。自分にしか描けないものがあるなら、描いていきたい。そう思いながら今日も描いています。
●尾添さん 前回のインタビュー
(マグミクス編集部)