『がんばらなくても死なない』漫画で伝える竹内絢香さん。苦しい事を選んでしまうあなたへ
自分の感情の揺れを「認識して、分解する」のが、最初の一歩

ーー作中で竹内先生は、たびたび「自分を客観視する」ことの大切さを描いています。何かにとらわれている時、自分を客観的に見るのにコツはあるのでしょうか?
私も全然出来ていないんですが(笑)、「認識して、分解する」ことが大切かなと思っています。
たとえば気分が落ち込んでいる時には、まず自分が「落ち込んでいるな」と状況を把握します。私のように感情に流されやすい人は、そもそもコレが難しいかもしれません。ですが、怒ったり悲しくなったり、感情が波立った際に「アッ、今揺れてる!」と察知できることは、とても大切だと思うんです。
そして、感情の揺れを察知できたときに「何が原因で落ち込んでいるのか」を考えます。体調が悪いのか、誰かに言われた言葉に傷ついたのか、将来がぼやっと不安なのか…。
原因がわかれば対応ができますし、そこまでする元気がない場合でも自分がモヤモヤととらわれているものが何なのかを理解するだけで、かなり楽になるような気がします。
ーー作中の竹内先生は、人々の話を聞いて自分の「がんばりすぎ」に気づける素直さがあると思いました。普段のコミュニケーションで、気をつけていることはありますか?
最近は特に「自分を主体に考える」ようにしています。こう書くと、一見「自己チュー」みたいに響きますが、相手の気持ちを考え過ぎても、結局それは分からないんだなあと気づいたので、コミュニケーションにおいても「相手のせい」にせず、自分が納得した行いをするように心がけています。
たとえば、誰かに何かをするとき、「私が好きでやってる」と考えた方が気持ちよく過ごせる気がするんです。逆に相手から何かをしてもらった時は、素直にお礼を伝えます。素敵だなと感じたことなども、できるだけ言葉にして伝えるようにしています。
ーー単行本『がんばらなくても死なない』を、どのような方に読んでもらいたいですか?
前向きに頑張りたいのはやまやまだけど、ちょっとそういうの疲れてきちゃったな……と感じている方にぜひ読んでいただきたいです。
私自身がかなりまじめで、いつでも全力で頑張る人生を送ってきたのですが、それゆえにどこかで自分を追い込んでしまって、無意識に「苦しいこと」を選択してしまっている方も多いのではないかと感じています。
世の中が大きく変化している今だからこそ、自分の視点で気持ちの良い毎日を作っていけるように、本書で気持ちを楽にしていただければと願っています。
(サトートモロー)
●コミックエッセイ『がんばらなくても死なない』は2020年7月2日(木)より、KADOKAWAより発売中。定価1210円+税。