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『あんぱん』嵩が依頼されたドラマ『CQCQ』の元ネタは? 蜷川幸雄、向田邦子も参加した伝説の作品

『あんぱん』104話で、いせたくやが嵩にドラマの脚本を依頼します。「CQCQ」という不思議なタイトルのドラマには、元ネタがありました。

羽仁進、荒木一郎、蜷川幸雄、向田邦子も参加した伝説のドラマ

柳井嵩役の北村匠海さん(2020年11月、時事通信フォト)
柳井嵩役の北村匠海さん(2020年11月、時事通信フォト)

 放送中のNHK連続テレビ小説『あんぱん』は、『アンパンマン』の作者、やなせたかしさんとその妻の暢さんの人生をモデルにした物語です。第104話では、「柳井嵩(演:北村匠海)」が、作曲家のいずみたくさんをモデルにした「いせたくや(演:大森元貴)」からドラマの脚本を依頼される場面が描かれています。

 ドラマのタイトルは『CQCQ』で、いせは「アマチュア無線をテーマにしたホームドラマです」と説明していました。最初は尻込みしていた嵩ですが、結局は承諾します。

『CQCQ』のモデルになったのは、1964年4月から放送されたドラマ『ハロー・CQ』です。やなせさんは主題歌の作詞と第1話「コロンブスと跳び箱」をはじめ、数本の脚本を書いています。

 ほかにも「モナリザの雨」「スピード狂の蝸牛」など興味深いタイトルのエピソードを執筆しています。本作はやなせさんが初めて執筆した脚本でした。主題歌を歌ったのは、同じ月にレコードデビューしたばかりのいしだあゆみさんで、伸びやかではつらつとした歌声を聴かせています。

 1話30分の本作は、ふとしたきっかけでアマチュア無線を知った中学生の少年が、さまざまなOM(アマチュア無線の用語で年長者、先輩)に助けられながら、トラブルを解決したり、周囲との交流を深めたりして、成長していく物語です。ドラマのなかには秋葉原に部品を買いに行く場面や、身近な日用品を使ってアンテナを立てる場面もあったといいます。本格的にアマチュア無線を取り上げたドラマは、今も本作だけだと言ってもいいでしょう。

 出演は後にシンガーソングライター、俳優として活躍した荒木一郎さん、のちに日本を代表する舞台演出家になった蜷川幸雄さん、俳優の伊藤敏孝さん、落語家の柳家小せんさん、『キイハンター』などで活躍した大川栄子さんらが名を連ねていました。俳優の風間杜夫さんも、本名の住田知仁名義で出演しています。

 監督はドキュメンタリー映画作品などで知られる羽仁進さん、助監督をその後バラエティ番組でも活躍する山本晋也さんが務めていました。実際にやなせさんに脚本を依頼したのは羽仁監督です。

 また、このドラマには、後に名脚本家となる向田邦子さんも参加しています。1950年代に映画雑誌の編集者だった向田さんと知り合っていたやなせさんは、脚本家として活動を始めたばかりの向田さんを誘い、2本書いてもらったそうです。

 本作が放送された当時、アマチュア無線は若者に人気のある最先端のホビーでした。背景には高度経済成長と若者たちの科学技術に対する高い関心、資格が取りやすくなって入門のハードルが低くなったことなどが挙げられます。

 放送されたのは、現在のテレビ東京です。開局当時は「日本科学技術振興財団テレビ局」という、教育専門局としてスタートしました。「東京12チャンネル」は当時の愛称で、後に正式な社名となります。

『ハロー・CQ』は東京12チャンネルの開局記念番組として制作され、開局3日後の4月15日から放送が始まりました。開局記念番組だからこそ、気鋭のスタッフが集められたのでしょう。

 約60年前のドラマながら、フィルムは数本現存しており、近年も著作権を持つ記録映画保存センターによって上映会が開催されています。ぜひこの機会に放送、配信をしてほしいものです。

(大山くまお)

【画像】え…っ? 「めっちゃ美人だしオシャレ」 こちらがやなせたかしさんと出会った頃の「向田邦子さん(20代)」です

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