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プレミア化したゲームキューブ『カービィのエアライド』 17年経っても盛り上がる

2003年7月11日に任天堂から発売されたニンテンドーゲームキューブ用ソフト『カービィのエアライド』。ソフトはプレミア化し、発売から17年経ってもプレイヤーたちはスコアを競っています。

中古市場でプレミア化

『カービィのエアライド』(任天堂)
『カービィのエアライド』(任天堂)

 根強い人気があるのに”大人の事情”から続編が作られる気配がなく、またダウンロード版も配信されていない。そのためにオリジナル版が中古市場にてプレミア化したソフトというのは少なくありません。本稿で取り上げるゲームキューブ専用ソフト『カービィのエアライド』も、そんなタイトルのひとつ。リリースから17年経った今でも、インターネット上のコミュニティで話題に登り続けている、れっきとしたヒット作です。

 本作は2003年7月11日に任天堂より発売されたアクションレースゲームで、「カービィ」シリーズとしては14作目にあたります。

 ジャンル名に”レース”とある通り、従来のシリーズ作品とは一風変わったゲームシステムが特徴的。プレイヤーは乗り物(エアライドマシン)にまたがったカービィを操り、1位でのゴールインを目指して各コースを駆け抜けます。操作に必要なのはAボタンとコントロールスティックのみ。Aボタンをプッシュしてエアライドマシンを減速させ、道中のカーブはスティックを傾けて突破……と基本操作が簡単なおかげか、複数人で楽しめるパーティーゲーム風のテイストに仕上がっていました。

 加えて、「カービィ」シリーズ特有の”コピー能力”がしっかりとレースに組み込まれていたのも言及すべきポイント。すれ違いざまに対戦相手を斬りつける「ソード」や、自身を一輪型バイクに変えて爆走する「ウィリー」。相手を凍らせる「フリーズ」に、スティックのレバガチャ具合が威力に直結する「プラズマ」など、10種類近くのコピー能力が登場し、レース展開を迫力あるものに演出しました。

 元々はNINTENDO64向けに開発が進んでいた本作。当初は一部のシステムやグラフィック面が今と異なっており、一時期はゲーム雑誌にデモバージョンと思われるスクリーンショットも掲載されていた模様です。しかし時勢を考慮してか、NINTENDO64版の発売は結局中止に。その後ゲームキューブ向けに舵を取り直して製作が行われ、発売に至ったという経緯があります。

 ちなみに、ゲームキューブ界隈でカービィの3Dモデルが描かれたのはシリーズ作品ではなく、2001年11月21日発売の『大乱闘スマッシュブラザーズDX』。つまり『カービィのエアライド』が、3Dポリゴンを駆使したゲームキューブ初の「カービィ」タイトルなのです。単にレースゲームとしてのクオリティ以上に、立体空間を生き生きと動き回るカービィを見ることができただけでも、本作は特筆すべき価値があるのではないでしょうか。

マシン育成を通して奔走した「シティトライアル」

 上述の立体空間を縦横無尽に移動するカービィの姿は、3種類あるゲームモードのひとつ「シティトライアル」にて顕著に現れました。というのも、本モードでは特定のコースに沿ったレースを行うのではなく、 箱庭型の3Dフィールドを舞台とし、東西南北を奔走しながら搭乗マシンを育てる必要があったからです。

 フィールドに降り立ったプレイヤーはまず辺りを見回しつつ、各種パラメータをアップさせるために育成アイテムを回収しなければなりません。最高速度を重点的に高めても良いし、攻撃力と防御力を底上げするのもOK。ただし特定のパラメータを上げすぎると、「素早い代わりに耐久力がない」、「フィジカルは強いけど飛行性能が悪い」といった弊害も生まれます。

 要はアイテムの取捨選択が非常に重要。その過程を踏まえた上で、「アイテムの詰まったコンテナに体当たりする」、「レアアイテムをおとりに他プレイヤーを誘い出して不意打ちを狙う」、または「優柔不断ゆえにマシンをとっかえひっかえする」といった”十人十色のカービィ”が映し出されました。

 動画サイトで今なお盛り上がるタイムアタック記録をはじめ、SNSでも「思い出のソフト」の一本としてピックアップするユーザーの多い『カービィのエアライド』。今のところ続報の知らせはありませんが、ゲームキューブへのシリーズ参入を飾った「カービィ」タイトルとして、今後も多くのファンの記憶に留まり続けるのは間違いなさそうです。

(龍田優貴)

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