『ガンダム』戦局も左右 連邦に接収され『Z』時代まで現役だったジオン偵察機って?
戦場において「偵察」というのは重要な任務です。ミノフスキー粒子下の戦場では輪をかけて重視されるといえるかもしれません。ジオン公国軍のMS「ザク」にも、そうした任務を担う偵察機タイプが存在します。
任務は「情報を持ち帰ること」

古今東西、戦場において「情報」は、勝敗を左右する重要な要素といえるでしょう。「ガンダム」シリーズの、ミノフスキー粒子によりレーダーの使用や通信がままならない戦場では、情報を探り持ち帰る偵察という任務の重要性はより大きなものといえるかもしれません。
たとえば航空自衛隊にはかつて、F-4「ファントムII」戦闘機の派生機であるRF-4E、RF-4EJという偵察機が見られました。前者はアメリカから導入、後者は日本仕様であるF-4EJの改修機です。これと同じように、と言ってしまってよいのかはわかりませんが、「ジオン公国軍」の「ザク」にも偵察機型が見られます。
●MS-06E ザク強行偵察型
「強行偵察型ザク」とも。いわゆる「ザクII」の装備を軽減し、偵察用機材を搭載した機体です。C型やF型を改修した機体といわれ、両肩や股にカメラを装備、頭部のモノアイも通常型に比べ高性能といいます。また、偵察機ならではといえる装備が携行用のカメラ「カメラガン」でしょう。さらに任務の性質からか、推力も強化されています。
ご存知のようにジオン公国軍は一年戦争に敗れましたが、このザク強行偵察型は戦後、地球連邦軍に接収され長く運用されました。一年戦争から7年後が舞台の『機動戦士Zガンダム』に、黄土色に塗り替えられた連邦軍の同機が登場しています。
●MS-06E-3 ザク・フリッパー
「異形のザク」といえば必ず挙げられるであろう機体のひとつが、ザク強行偵察型を改修したというMS-06E-3「ザク・フリッパー」でしょう。「改修」と記しましたが、もはやザクの面影はほとんどありません。
連邦軍の軍備が整いその攻撃も激しくなってくると、より高い機動力と探知能力を備えた偵察機が求められるようになり、本機が開発されたといいます。
最大の特徴は、頭部の3連式一体型カメラと、背部に装備された6本の「ブームセンサー」による複合探知システムでしょう。このブームセンサーの動く様子が、まるで海の生き物のヒレみたいに見えることから「フリッパー」と呼ばれるようになったそうです。実は愛らしい愛称でした。
本機のハイライトは、ア・バオア・クー攻防戦でのレビル艦隊に対する強行偵察任務といわれています。それが戦局を左右したであろうことを考えると、なるほど確かに最大の功績かもしれませんね。
(マグミクス編集部)