『ガンダム』10秒で沈んだ連邦空母が記憶に刻まれているワケ 「実は殊勲艦」の声も?
『機動戦士ガンダム』の「やられ役メカ」のなかでも「ヒマラヤ級」は、おそらくもっとも出番が短いながらも、TVアニメ放送当時の現実世界にあった具体的な「脅威」と結びつき、当時のお子様たちの記憶にしっかり刻まれていたようです。
「ジオン残党なみにしぶとい」

マグミクスは2025年9月10日、「『ガンダム』登場10秒で海の藻屑に 連邦軍の空母っぽい『フネ』って何者だったの?」と題した記事を配信しました。「ヒマラヤ級空母」という「やられ役」に焦点を当てたこの記事に、多くの反響が寄せられています。そうしたなか特に印象的だったのは、当時のリアルタイム視聴世代からの詳細な証言でした。
多くの読者が言及したのは、ヒマラヤ級のモデルが旧ソ連のキエフ級空母、特に2番艦「ミンスク」であろうことです。「間違いなく、旧ソ連のキエフ級V/STOL空母がモデルでしょう(中略)当時、キエフ級空母は最新鋭の軍艦でした」「当時小学5年生でしたが、劇中で登場したヒマラヤ級空母の特徴的な艦容に関しては(中略)『ミンスク』が太平洋艦隊に配備され日本近海へ回航されたニュースが流れていたので、ゲストメカながら良く覚えている」といった具体的な証言が寄せられました。
現実の1970年代後半というと冷戦のさなかです。「当時はミンスクが日本海に現れたら結構マスコミは騒いでましたね」「マスコミ各社が報道一番乗りを狙って盛んに撮影機を飛ばしてましたね」といった、当時の「身近な脅威」であることがうかがえる投稿も見られました。
このほか「やられ役」の存在意義についても、「連邦海軍艦艇は確かにやられ役でありますが、それを為しているのはジオン軍水陸両用MS及びMA(中略)専用の兵器を開発する、というのは、ジオン軍が案外、連邦の水上戦力、交通路に苦しめられた証(中略)劇中ではサックリやられる(連邦の)水上艦艇も、水上艦艇をサックリやれる程の兵器を敵に作らせるほど苦しめた、ともすればホワイトベース並みの殊勲艦なんでしょうね」といった指摘が見られます。
さらに、ジオン水陸両用MS開発の是非についても議論が割れていました。「ジオンの『水陸両用開発』の評価も、時代とともに変わっていった印象。最近は『ただでさえ資源・国力の乏しいジオンが、水陸両用MS開発に過剰に力をいれた』って評価の方が有力な印象」という指摘や、「連邦の海運力を削ぐのは超重要なんだけどな…それが無かったら作中ジオンが行ってるギリギリの地上侵攻さえもっと簡単に防がれてるだろう」という声も聞かれました。
なおキエフ級は70年代に4隻、建造されています。
ネームシップで1番艦の「キエフ」および2番艦の「ミンスク」は90年代前半に退役後、いずれも中国でテーマパークとなりました。「キエフ」はその後ホテルに改造され2025年現在も天津で営業中です。一方の「ミンスク」は2024年8月、江蘇省南通市で廃墟と化していたところに火災が発生した、との報道がありました。3番艦「ノヴォロシスク」も90年代中に払い下げられ韓国で解体されたとか。4番艦の「バクー」、改名して「アドミラル・ゴルシコフ」はインド海軍へ売却、その機に全通甲板に改装され、2014年に「ヴィクラマーディティヤ」の名で就役しています。
こうした現状に「ソ連残党(?)ってジオン残党なみにしぶといです」というコメントも見られました。
(マグミクス編集部)

