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サンライズ制作『GEAR戦士電童』 今の時代に受けるのか?見始めたところ…

2000年に放送された、サンライズ制作のTVアニメ『GEAR戦士電童』が2020年で20周年を迎えます。1994年に『新世紀エヴァンゲリオン』が放送され、アニメが深夜枠に移行しつつあった「スーパーロボット」不遇の時代にサンライズが送り出したのは予想を裏切る「面白い」作品でした。

スーパーロボット不遇の時代の挑戦

『GEAR戦士電童』DVD1(バンダイビジュアル)
『GEAR戦士電童』DVD1(バンダイビジュアル)

 2000年にサンライズが送り出したTVアニメ『GEAR戦士電童』(以下、電童)が、2020年で放送20周年を迎えます。これを記念して「スーパーミニプラ電童」の商品化が決定し、7月20日(月)から受注が開始される予定です。「GEAR戦士電童」や「騎士GEAR凰牙」ほか、数々の「データウェポン」も発売が予定されており、さらなる展開として『スーパーロボット大戦X-Ω』への参戦やYouTube サンライズ公式チャンネルでの1話の無料公開も控えています。最初に『電童』の特集を見たとき、「今の時代にこれは受けるんだろうか」と首をひねり、実物を見て「これはすごい!」とサンライズの力を思い知らされた記憶を持つライターの早川清一朗さんが、当時を回想します。
 
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 最初に『電童』の情報を見たとき、ふたりの少年が乗り込む派手な原色のスーパーロボットが、今の時代に受けるのだろうかと友人たちと話し合ったことを覚えています。最終的には「ちょっと難しいんじゃないだろうか」という結論に落ち着いたことも。
 
「少年たちがロボットに乗り、宇宙からやってきた謎の敵と戦う」

 このシチュエーションは、1970年代から80年代にかけてロボットアニメで多く見られたものであり、2000年という時代にはそぐわないのではないかと感じたのです。

 特に1994年には『新世紀エヴァンゲリオン』が登場してアニメの歴史を新しい時代へと導いていました。さらに1990年代後半からはアニメが本格的に深夜枠に進出し、数多くの傑作、意欲作、そして問題作が次々と生み出され、大人が趣味でアニメを見ていてもおかしくない空気も少しずつ醸成されていました。

 しかしながらこの時期、ロボットアニメ、特にスーパーロボット作品にとって、状況はそれほど良くはなかったのです。特に1990年から続いていた勇者シリーズが1998年の『勇者王ガオガイガー』(以下、ガオガイガー)で終了したことが、ロボットアニメ好きの心に暗い影を落としていました。マニアには熱狂的に受け入れられた『ガオガイガー』の視聴率はまったく伸びず、「もう、子供はこういうアニメを見ないんじゃないのかな」という声も出ていたのです。

 このような状況下で『電童』を出そうとしたサンライズの計算はいかなるものだったのかはわかりませんが、実際に送り出された作品を見れば、結果は歴然でした。

 それは、とても素晴らしい作品だったのです。

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