マグミクス | manga * anime * game

【漫画】就活で不安、焦り… 疲れた時に「他人」を知って「自分」が分かった体験

漫画家の望月哲門さんは、就職活動をしていた頃、自分が何をしたいのか分からなくなり、焦りや不安でいろいろなことを頑張りすぎて疲れてしまいました。そこで頑張ることを全てやめ、代わりに「本を読む」ことを始めたのです……。

「このままでは壊れる」と思い、頑張ることをやめた

自分が分からなくなり、焦っていた(望月哲門さん提供)
自分が分からなくなり、焦っていた(望月哲門さん提供)

 漫画家の望月哲門さん(@Tetsuto1319)は、就職活動をしていた頃、自分が何をしたいのか分からなくなりました。焦りや不安でいろいろなことを頑張っていた結果、疲れてしまい、「このままでは壊れる」と思うほどまでになってしまいました。そこで望月哲門さんは頑張ることを全てやめ、代わりに「本を読む」ことを始めたのです。

 望月哲門さんの体験を描いたマンガ『自分が分からなくなったとき、本を読みまくったら抜け出せた話。』がTwitterで公開されました。本に登場する「他人」のことを考えることによって「自分」の立ち位置が分かる、という考え方に、読者から「とても優しくて強い考え方ですね」「今までで一番心に響いた」「本を買ってきました」などの声があがりました。
 
 作者の望月哲門さんに、お話を聞きました。

ーー望月哲門さんがマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。

 物心ついた時から本が好きで、その延長のような感じでマンガを読みはじめました。マンガにどハマりして、「ジャンプ」系の少年マンガを中心にたくさん読みあさりました。

 マンガを描き始めた理由は、イタいやつみたいでけっこう恥ずかしいのですが……中学生の時、『SLAM DUNK』を読んでいると、ふと「あれ? 俺、将来漫画家になるかも」と感じたのが最初のきっかけです。なんでそう感じたのかは分からないし、不思議な感覚がありました。誰にもそのことは話してなかったのですが、就職活動が始まる大学4年生の時までそのことがずっと引っかかっていました。でも、そう思いながらもマンガ自体は一度も描いたことはありませんでした。絵や文章などの創作はずっと好きでした。

 迷いながらも、大学を卒業し、普通の会社勤めのサラリーマンになりました。それでもやっぱり、漫画家を目指してみたいという気持ちが残っていたので「じゃ、描いてみるか!」とその時初めてマンガを描き始めました。それが描き終わってもいないうちに会社を辞めて、その後持ち込みに行きました。なかなかむちゃをしたなと思います。

ーー『自分が分からなくなったとき、本を読みまくったら抜け出せた話。』のエピソードをマンガに描いて公開しようと思ったきっかけはありましたか?

 最近noteで、創作のトレーニングのつもりでエッセイを書きはじめました。今回の作品も、まずエッセイを書いて、文章をnoteに投稿しました。その後に、自分でそれを元にマンガにしました。なので文章が主体になって進む感じになっています。

 2020年7月2日に、知り合いである竹内絢香さん(@ayakatakeuchi56)が描いた、『がんばらなくても死なない』というコミックエッセイが発売されました。Twitterでその単行本発売記念に、それぞれの「がんばらなくても死なないエピソード」を投稿しようという企画がありました。応援の気持ちと、「乗っかるぞ~」というちょっとした下心で描き始めました。

 今回描いたのは、就職活動から新社会人時代の、「自分の将来のことで悩んで苦しんでいた時」の話です。ずっと描きたい気持ちはあったのですが、なかなか自分のなかで客観的に作品にできるほど「過去」のことになっていませんでした。それから数年経ち、ようやく今なら描けそうかもと思いました。読む人のためにというよりは、自分の創作のトレーニングと気持ちの整理のために描きました。

ーーたくさんの感想が寄せられています。特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。

 特に印象に残ったのは、息子さんのいる、ある母親の方からの感想でした。高校受験の時に忙しくなったのがきっかけで、そのまま読書から離れていた息子さんに、今回のマンガを見せたそうです。すると、次の日にその息子さんが「これからいっぱい読もう! 夏休みも読みまくろう!」と言い出したみたいで、それがうれしかった、というような内容のツイートでした。

 正直、「今しんどすぎて、本すら私は読めない」というようなコメントも数件あって、それに対して申し訳ないなという気持ちがあったのですが、このツイートをみて、「あ、やっぱり描いて良かったな」と、ちょっと自分の方が救われました。

『帰りたくても帰れない今だから、思い出す話。』(望月哲門さん提供)
『帰りたくても帰れない今だから、思い出す話。』(望月哲門さん提供)

ーーTwitterでは、2020年5月29日に投稿なさった『帰りたくても帰れない今だから、思い出す話。』も話題となりました。こちらの作品についてご紹介いただけますか?

 このマンガはコロナの影響で緊急事態宣言が出され、外出ができなくなり、世間が一番暗くなっていた時期に描きました。自分もかなりストレスを感じていて、ナイーブな時期でした。Twitterもすごく荒れていましたね(笑)。なぜかその時期に、この時の帰省のことを良く思い出すようになりました。

 マンガを描き終わってから、「コロナで帰省することができないから、思い出しているんだ。ああ、俺、実家に帰りたかったんだな」とあとで気付きました。なので、noteには『ボロボロで帰省した時、お母さんに救われた話。』というタイトルで投稿したのですが、Twitterに投稿した時はタイトルを『帰りたくても帰れない今だから、思い出す話。』に変えてツイートしました。その方が共感され、創作の意図も伝わるかなと思いました。

 読者の反応は、同じような経験をされた方が思っていた以上にとても多かったです。それ以外にも、今現在母親である方たちが、「子供が心配で普段いろいろ言いがちだから、そっとしておくこともできる母親になりたい」とたくさんコメントしてくれました。それがちょっと想定していなかったコメントだったので、ジーンときてしまいました。

ーー今後、Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?

 しばらくは、同じようにエッセイ調のマンガを定期的に投稿していこうと思っています。思った以上に反応が良いのと、自分も描いていて楽しいです。特に今回のマンガの反応がすごく良かったので、自分の創作のひとつの方向性が見えた感じがありました。自分の体験、気付き、感じたことなど、飾らずに描いていきたいと思っています。それとエッセイだけではなく、創作マンガの読み切りも並行して描いていきます。

 また描くので、良かったらTwitterやnoteをフォローして読んでもらえたらうれしいです。

(マグミクス編集部)

【マンガ】本には「自分」がいる? 本編を読む

画像ギャラリー