梅雨時の猫は「しっとり」してる そばで寝ていると…ゾッ!?
漫画家の迷子さんによる描き下ろしエッセイ。梅雨時の愛猫は「しっとり」しているそう。そばにいると眠くなってしまい……。
しっとりしている愛猫
漫画家の迷子さんによる描き下ろしエッセイ。
雨が続く梅雨時。迷子さんの愛猫は、湿度が高いせいかしっとりしているそうです。眠そうな猫を見ていると、飼い主もねむくなってしまい……。
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猫がしっとりしている。
これを書いている7月中旬現在、雨が降っている。100%そのせいだと思うのだが、猫が湿気ているのだ。いや毎年梅雨の時期には猫はしっとりし放題なのだが、今年は特にしっとりさ加減が激しい気がする。普段後ろ向きに丸くなっている姿は「おはぎ」なのだが、今は「みずようかん」だろうか。水分含有量の差が顕著だ。
成人の体の約60%から65%は水でできているそうだ。猫はどうだろう。『猫液体説』がイグ・ノーベル物理学賞を受賞したことは記憶に新しいが、猫を飼う者は薄々その事実に気が付いていた。猫は液体だ。軽くだが調べてみたところ、成猫の体の60%から70%が水分だそうだ。大して人と大きくは変わらない。そんなものかと驚いた。きゅうりの水分含有量に負けているのが意外だ。だって猫はあんなにもぐにゃぐにゃと柔らかいのにとても信じられない。
もしや、猫は自分の体を構成する水分量を場合により変えられるのではないだろうか。梅雨の時期の猫しっとり化現象と合わせて考えてみるとなんだか疑わしい。そうだ猫は空気中の水分を吸収しているのかもしれない。だとすれば湿気取りの代わりに猫を配置するというのはどうだ。まあ猫は絞れないし、水分の排出は猫の気分次第なので、ふくふくと水分を含んだままぽてりと床に落ちているだけなのだが。しっとりと水分を含んだ猫は一日中よく眠り、つられて側で眠ると、猫が夢のなかでみずようかんをごちそうしてくれるに違いない。瑞々しい甘さに舌鼓を打っていると「これであなたもお水ですよ」と猫の目が細い三日月を描く。目を覚ますと猫はまだ寝ていた。なんだか体が湿気ている気がする。
一日中降り続く雨は未だ止まない。
(迷子)