『ばけばけ』明治20年の資料を基に司之介の「牛乳ぼったくり」にガチツッコミが 正規値段と比較したら「マジか」
連続テレビ小説『ばけばけ』では、レフカダ・ヘブンに対し、トキの養父の司之介がぼったくり行為を行いました。
未来の義理の息子相手にとんでもないぼったくり

2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は、1890年に来日し『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)さんと、彼を支え、さまざまな怪談を語った妻の小泉セツさんがモデルの物語です。本作の第5週では、ついに主人公「松野トキ(演:高石あかり)」の未来の夫「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」と出会いました。
23話ではヘブンが泊まっている花田旅館に、トキの養父「松野司之介(演:岡部たかし)」が現れます。牛乳配達の仕事をしている司之介は、ヘブンに牛乳1合を20銭で売り付けました。劇中ではトキの売るシジミが3合で6銭、花田旅館の女中「ウメ(演:野内まる)」の月給が90銭と説明されています。
松江中学の英語教師として月100円もらえるヘブンは特に気にしていませんでしたが、SNSでは司之介のとんでもない「ぼったくり行為」に対し、「牛乳ぼったくりすぎ!父上のしれっと悪事をやらかして悪びれる様子もないの、そういうとこだからね」「そもそも高価なものとはいえ、牛乳1本20銭はさすがにやりすぎじゃないの?」「胡散臭さに磨きがかかった父上」「未来の義理の息子からぼったくる司之介」などと、ツッコミが相次ぎました。
そして、松江市殿町にある歴史資料館、松江歴史館もこの場面に反応し、公式X(旧:Twitter)で
「本日の #ばけばけ、牛乳販売をしている司之介がヘブン先生というよい得意先を見つけました。史実では、小泉八雲に牛乳を配達していたのは、南田町にあった鴻生舎です。明治20年(1887年)の新聞広告によれば1合3銭とのこと。司之介はヘブン先生に牛乳1合20銭で売りつけていましたが、これは犯罪ですね。」
とポストしています。
たしかに、1887年5月2日の山陰新聞の広告には、ラフカディオ・ハーンさんに毎日牛乳を配達していた鴻生舎(こうせいしゃ)の牛乳が、「1合3銭」であることが書かれていました。司之介はなんと、7倍近い値段をぼったくっています。
司之介は個人で牛乳を仕入れて売っているわけではなく、松牛舎という会社の社員として牛乳を配達している身です。モデルの鴻生舎は、松江初の牛乳搾取業者で、牛舎と処理所、家屋敷あわせて3ヘクタールの土地を持ち、1873年から1944年まで70年以上続きました。近所の松江病院(現:松江日赤病院)にも牛乳を届けていた、優良企業だったそうです。
今回の司之介のぼったくりが会社にばれたら、とんでもないことになってしまうかもしれません。
※高石あかりさんの「高」は「はしごだか」
参考:「日本酪農乳業史研究会」公式HP
(マグミクス編集部)