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『ばけばけ』サワの25倍の月給で女中に「月20円」出せるヘブン先生 現代だとどれぐらい高給取りなのか

連続テレビ小説『ばけばけ』第6週では、レフカダ・ヘブンが女中に月20円も出せることが判明しました。

改めて驚くヘブン先生の給与

『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)
『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)

 2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)さんと、彼を支え、さまざまな怪談を語った妻の小泉セツさんがモデルの物語です。

 本作の第6週28話では、主人公「松野トキ(演:高石あかり)」が、松江中学の教師「錦織友一(演:吉沢亮)」から、同中学の英語教師で未来の夫である「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」の女中として働いてほしいと依頼されます。錦織によれば、ヘブンは女中に「月20円」を払うそうで、トキはかなり驚いていました。

 いわゆる「お雇い外国人」の教員であるヘブンは、月100円の給与をもらっています。ヘブンの世話をしている花田旅館の女中「ウメ(演:野内まる)」の月収は90銭なので、とんでもない高給取りです。トキが女中になれば、その20%の給与がもらえます。

 28話の放送後、月20円が現代だといくらほどの価値なのか、SNSでさまざまな意見が飛び交いました。ただ、明治時代と現代では生活様式も大きく変わっており、賃金の水準や需要と供給なども異なる部分が多いため、単純比較は難しいです。当時の1円の価値の換算も、ばらつきがあります。

 仮に明治23年の1円が現在の2万円ほどの価値だとすると、トキは女中になれば月40万円もらえることになります。2023年に厚生労働省が発表した新卒の初任給の平均は、大卒男性で24万300円、女性で23万4300円でした。借金のせいで小学校にも通えなくなった22歳のトキが、月40万も貰えると聞けば、驚くのも当然です。

 また、『ばけばけ』28話では非正規の小学校教師として働き始めたトキの親友「野津サワ(演:丸井わん)」の月給が、4円であることが明らかになりました。ちなみに『物価の文化史事典: 明治/大正/昭和/平成』(展望社)によると、1890年時点の小学校教員の平均月給は5円です。非正規のサワの月給が安いとはいえ、ヘブンが彼女の25倍もの給与を受け取っていることに驚かされます。現代の教員の月給との比較だと、ヘブンはいくらもらっていることになるのでしょうか。

 2021年に総務省が発表した「地方公務員給与実態調査結果」によると、令和の小、中学校教員の初任給の全国平均は、大学卒で20万9570円、短大卒で18万6601円です。非正規の教員になったばかりのサワが現代では月給18万円だとすると、ヘブンはその25倍の月給450万円をもらっていることになります。

 トキが女中として働いた場合の月給20円は、上記の換算では90万円です。毎月それだけのお金が入れば、松野家の借金を返し、28話で物乞いをしていた実の母「雨清水タエ(演:北川景子)」を救うことも可能でしょう。

 ちなみに、ヘブンのモデルの小泉八雲さんも、島根県尋常中学校と師範学校の英語教師として、月給100円をもらっていました。これは当時の島根県知事に次ぐ金額だったそうです。明治時代のお雇い外国人たちは軒並み高給取りで、八雲さんと同じ教職の例だと、東京帝国大学に務め1877年に大森貝塚を発見したアメリカ人動物学者のエドワード・シルヴェスター・モースさんは、350円もの月給を受け取っていたといわれています。

 八雲さんも1896年9月から1903年1月まで東京帝国大学の講師として働いていた際は、月給が450円にまで達したそうです。それに加えてさまざまな著書の印税も入っていたので、当時の小泉家はかなり裕福だったと思われます。

 トキのモデルの小泉セツさんは、1891年2月頃から八雲さんの住み込みの女中として働き始め、同年の夏には彼と夫婦になりました。トキが女中になって、ヘブンと結婚し、お金に困らなくなる日も近そうです。

※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」

参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(著:長谷川洋二/潮出版社)

(マグミクス編集部)

【画像】え…っ! 夫婦で立って並ぶと「なんか小っちゃくてかわいい」 コチラが小泉八雲さん(ギリシャ人)と小泉セツさん(日本人)の身長差です

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